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雑談

清左衛門どの 黄昏にはまだ間がござる さあ! 一献

昨日、近隣の大型スーパー内の書店に出向いた、
よくぞここまで至れり尽くせりの設備を造ったものよと
感心して店内をくまなく見て回った。

一通り手に取って眺めた後、あるコーナーで足を止めた、
藤沢周平の書籍が整然と並んでいる、

ほとんど古本屋で手に入れて読んでいるが、特に思いれの
強い題の本に目が止まった、

「蝉しぐれ」 「三屋清左衛門残日録」

藤沢作品の中で初めて手に入れた本が蝉しぐれだった、
その夜、一気に読み切った、私としては始めての事である。

それから藤沢作品に傾倒する、癌と云う病を宣告され、
命の終焉を悟った私は何かに夢中になることでその悩みから
逃れようとしていた。

覚悟はしていたものの勇気の可能性を藤沢周平という作家に
求めたのかもしれない、古本屋あさりが始まった、

ほとんどの作品を揃えて読み切ったが、この二つの作品は
私の心の支えとして胸の奥深く仕舞われている。

本屋で大型書店で私の勇気の支えとなった作品が他の作品に
挟まって並んでいた、

その時ふっとある人の顔が浮かんだ、その人は関東に住んで
居る、( そうだ彼にプレゼントしよう! ) それは直感だった。

今日、先ほど、日曜日なのだが営業している郵便局に出向いて
手続きを終了した。

「明日、届く予定です。」 若い男性職員の声が爽やかだった。

「蝉しぐれ」 物語の内容はさることながら、人間の普遍の愛、
親を思い、愛する人を想う庶民の哀感が舞台を江戸に移して展開
する。

誰しも経験する淡い初恋と異性を恋うる人生詩、胸に響くモノが
去来する、

「三屋清左衛門残日録」 隠居した武士の黄昏の佇まいが女将との
大人の想いで展開する、誰にも有った切ない想い、身につまされる。

関東の友に、この清左衛門を重ねる私がいる、

私が求めた古本ではなく、真新しい新刊こそが彼に相応しい、
私の友への応援歌であり、友と共に歩む黄昏への覚悟である。

「N 清左衛門殿、一服しょうではござらんか! 黄昏にはまだ間が
ござる、政道を急いでは身が持たぬ、 女将の酌でさあ! 一献 !」

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