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雑談

蒙古放浪歌 露路裏エレジー

蒙古放浪歌 露路裏エレジー
Y警察署柔道場は静寂の中に裂帛の気合が響いていた、

突き蹴りの空気を裂く音は道着の擦れる音と合まって
それはメリハリの効いたものだった。

その男Aは、東京の大学を卒業して父の家業を継ぐため
帰郷していた。

大学は伝統流派の空手協会に所属する空手部に在籍して
160cmに満たない小柄な身体は、その体型に見合わない
大技小技を繰り出していた。

夏のある日のこと彼の彼女を介して相談が持ち込まれた、
「Sさん、うちの商売の手伝いをしてくれませんか ?」

「 いいよ! 手伝ってあげるよ !」
ある会社を辞めて独りアパート住まいをしていた時期でも
あったので快く応じることにした。

社長をしている彼の父上と私の従兄が親しい友人関係でも
あったので、社長の快諾をいただいた。

慣れない営業で走り回ることになる、持ち前の内に秘めた
闘志だけで同業他社のセールスマンと競い合うことになる。

昼間の疲れは何のその警察道場を借りての稽古は続いた、
極真会館芦原道場がY市に出来る少し前のことである。
・・・・・

夏の土曜夜市が終盤にかかった蒸し暑い土曜の夜、我々は
彼が贔屓にしている寿司屋に出向いた、

街の中心部に在る狭い路地の中程に在るB寿司店、この店は
奇しくも私と彼が別れの盃を酌み交わした思い出の店になる。

旨い酒と気心の知れたオヤジ夫婦のもてなしに満足して2人は
店を出た、そこから数分の場所で衝突は起きた、

寿司屋から少し南へ向かって、四つ角の交差点に差し掛かった
時、土方風と漁師、そして街の兄ちゃんの3人連れが向こうから
此方に向かって来た、

その内の兄ちゃんはたまに見かける男なので、我々の事は少な
からず理解している筈である、

ところが、酔いの回った土方風が難癖を付けて来た、
ガンを付けたと云うのである!

困ったことだ ! 我々ふたりは空手の現役、目つきが悪い ?

気を付けているのだが、どうしてもすれ違う時は気配りする、
それがバツ悪く相手から見れば、がんをつけた睨んだとなる、

「 ゴメンよ !」 小柄なAは、更に身体を小さくして詫びを
入れた、

連れの兄ちゃんが危険を察して止めに入ったが、既に土方は
流れからして止まれない ?
悪いことに、それに呼応して漁師が前に出て来たのである !

「Sさん、下がって! 任せて !」 A は手短に私に伝えた ?
その言葉が終わるか終わらない内に・・・

「うおう!・・・」言葉にならない唸り声をあげて漁師が殴り
掛かって来た、 ( 困ったものだ ! )

その時である ? ( ああっ! 消えた ? )
殴られたと思ったその瞬間、そう間一髪、私の視界からAの姿が
消えた ?

同時に「バシッ !」 鈍い肉を叩く音がしたかと思うと
「ドスン!」
嫌な音がして漁師が前のめりに崩れた、

( 何だ ? )
目の前にゆっくりとAが立ち上がった、
「Sさん! 悪い 悪い ? 」

Aは、ニャリと普段と変わらぬ柔和な笑みを見せた、
その表情には少しの呼吸の乱れも無い ?

その攻防の場面は、後からのAの話しを参考に解説する。

漁師は大振りのフック気味の右拳で殴って来た、Aが身体を
沈めたので目標を失った漁師は前のめりになってしまった、

そこを中腰のまま身体をひねって一回転したAの裏拳が
漁師の右脇腹辺りに入ったのである。

それほど高度な技ではないが、Aの小柄なワザ師振りと冷静に
対応出来る平常心で咄嗟に出た反撃だった。

私は、その後ひとつの疑問を彼にぶつけた ?
何故わざわざ中腰になって不自由な姿勢での裏拳だったのか ?

それに対する答えが・・・
「オス! Sさん、とっさの遊び心だったのよ !」
小柄な身体を生かした彼独自の技、余裕がないと出来ない。

彼は照れくさそうに笑った・・・

このように私の交友録は無粋な、しかし男気に溢れた野郎達に
彩られて花開いていた。

「 蒙古放浪歌 」

蒙古の砂漠に沈む真っ赤な太陽、その勇姿を覗かせて視界から
消えた男一途 A !

伝統流派の空手の勇者は未だ消息が掴めない !
「Sさん、50になったら逢おうな !」

その約束の歳月は、当に過ぎてしまった、 好漢 何処に !?

蒙古放浪の歌  東京農業大学 マンドリン演奏

蒙古放浪歌 露路裏エレジー” に6件のコメントがあります

  1. 杉の子兄殿。

     蒙古放浪歌は、いつ聴いてもいいですね。
    あなたの過去の思い出も、味があります。私も、会いたいとおもう人がいますが、互いに音信不通。しかし、時として思い出す。
    これも人生の味ですね。

     私はあなたの会えたことを、人生の宝として、大切にします。本日は、コメントを感謝します。

  2. 杉の子さん。

    こちらに、随分前からコメントが入っておりますが、なかなか反映されませんね。
    onecat01さんが、もう一度お試しのコメントをされたのでしょうか?

    コスモスのPC,もしくは、gooブログの方になんらかの原因があるのかな?と
    思っていたのですが・・・。

    気になって往復し、コスモスからもお試しのコメントをさせて頂きましたよ。

  3. コスモスさん、
    おはようございます、こちらは朝までは寒かったのですが昼現在青空が広がって暖かい日となりました。
    onecat01さんからのコメントが受診表示されてなく上記のように再コメントを見て気がついた次第です。

    キカイ音痴と、神様のイタズラ ( 誰かがちょいとおふざけで? ) 心を迷わせているのかなとアニメの
    世界を夢見ております。

    いつもありがとうございます、レオさんお元気に復活されたようです、又お訪ねいたしましょう。

  4. 杉の子さん。コスモスさん。

     やっと、お会いできたような気がいたします。こちらは、曇天です。薄日が差していますが、寒い日です。天気に左右される私は、このような日は、心が晴れません。どうやら、機械も同じらしく、乱調のようですね。

     神様のイタズラと、そんなふうに明るく考えられる杉の子さんを、見習わなくてはなりません。明るくといえば、私にはやはり、コスモスさんの海の写真です。時々、コスモス写真館の写真を、唱歌を聞きながら眺めたりしています。

    どうか、私たち幼な馴染みは、いつまでも音信不通の仲間に入らないように、神様のイタズラも収まりますように、願いたいものです。気が沈んで、「変節の学者」のブログを途中で止めようと思いましたが、前向きな「読者の方に励まされ」最後まで書きました。お二人が、いつも読んでくれていることにも、感謝しています。

     今日は呑める日ですから、夜になりましたら、焼酎のお湯割りをのもうと思います。私が作ったキンピラと、家内の肉野菜と、それからもちろん、もずくが並びます。まだ昼なのに、夜が待ち遠しくなりました。

  5. onecat01さん、
    誰かの心を忖度して機械が乱丁をきたしています、実は又 あなたのコメントは受信欄に無く
    コメントモデレーション画面を開いて判ったのです。
    主人の沈んだ胸の内を痛んでパソコンが心痛めている図ではないでしょうか ?

    たかがブログ、されどブログ、嫌な時は胸の内が沈む時は、私と一緒に沖縄の海を見に行こう、
    コスモスという癒しの花が微笑んでいます、「何のこれしきくよくよするな!男なら? だぜ!」

    今夜、私の最も親しい友から電話がありまして、「沖縄へ行ってきたぞ! 家族で・・・!」
    失恋に泣いた男でしたが、現在は最高の女房、跡継ぎ息子、更に孫に囲まれて幸せ絶頂です。

    人間は、くじけず、負けずにがんばればいつかは太陽が昇る、その見本です。
    「Sよ、同級会の音頭だし、早くしてくれよ、待っているぞ!」 男の友情 ここにあり !?

    肉野菜、モズク、そしてキンピラ、どうしたことか我が家の食卓と全く同じ、
    「たまげたぞ!」→方言「驚いたよ」 一杯飲んで、歌でも唸りますか ? いやでも明日はやって来る。

    押忍

  6. 杉の子さん。
    onecat01さん。
    こんばんわ! お二人揃っておいでになられるのに、少々遅れを取ってしまいました。

    先ずは、onecat01さんの「変節の学者たち」1~11・・・脱稿ご苦労様でした。
    解りやすく?!書いて頂いたのでしょうが、コスモスにはなかなか難解でありました。
    (お恥ずかしい位、無知な為に。)
    現在進行形は、これからもお尋ねして読ませて頂こうと思います。
    onecat01さんの我が国を思う心は、巌も通し、きっと天に通じることでしょう。
    憂国さんも同じ信念できっと寄り添っておいでですね。

    3月・・もう暫くすると沖縄は初夏に入ります。
    杉の子さんのお誕生月でもあり、onecat01さんのお孫さんの誕生月でもありますね。
    杉の子さんがonacat01さんのブログに初登場されてコメントされていたのを、再読して
    その頃から、幼馴染のお付き合いが始まってのだと、なんだか懐かしく思い起こします。
    コスモスの拙い海の写真がお役に立っているようで 嬉しい限りですが、
    onecat01さんご夫妻が数十年丹精込めて庭ずくリされた成果が一番の癒しですね。
    余りに多いお庭の植物の種類に、読ませて頂く度に検索し、あ~前回も同じことしたんだった~
    と、とにかく記憶力のないことに感心しております。
    今度は、楽しい書物の書評もぜひにお願い致します。

    お二人のお酒の摘みまで一緒とは!
    沖縄では現在「むるー」という小魚が大量に捕れる季節です。
    和名・アカタマガシラという魚でから揚げして頭ごと食します。とにかくなんでも天ぷらですので
    この季節、何処の食卓にも並びます。コスモスは幼い頃、川の辺に住んでいたので、母が小魚を
    囲炉裏で乾燥させ、油で揚げた後、砂糖と醤油で飴炊きにしてくれました。時々その味が忘れられず
    作ります。コスモスだけのお摘みです。
    でも、このところ、風邪をひいてしまい、お酒を禁じておりました。
    もうそろそろ・・・島酒と行きましょう。

    長くなったけど、送信できますか・・、機械も妬ける幼馴染かな?

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