心なし沈んだ声のその人は健気に報告してくれた、
その報告を聞きながら彼との出会いと共に手を携えた
日々を思い起こしていた。
万感胸に迫る !?
(よく我慢して、よくがんばったな !)
彼に対する私の正直な気持ちである。
その結果責任の大部分はこの私に有ることは紛れもない
事実である。
「落ち着いたら逢いましょう、ビアガ-デンで飲みますか?」
電話の後、私はしばらく放心状態が続いた ・・・
彼との想い出が蘇る・・・
親子ほど歳が違うのに、沢山の共通点が有る、
今は、言わないが、いずれ私の野望が実現すれば公表する。
ふたつの問題をクリアすれば私の夢は実現する、
ひとつでも駄目な時には、老兵は静かに退場することになる。
仕事で多忙、信頼する若い同業者に手助けを頼んだばかり。
一度、退いて若い彼にバトンタッチをと顧客に訴えたが
どうしてもやって貰わなければ困るとの意向だったので
若い先生とタッグを組むことにした次第である。
千秋楽が近づいている、男の腕の見せどころ、
このように私は徐々に信頼する同士に仕事を譲って行く予定、
男の花道がそこに見えてきだした。
喜怒哀楽が、揺れる波のように押し寄せてくる、
電話の主の、今を想ってみる、
孤独に沈む2児の父は、人生の翻弄を味わっている。
「負けるなよ! 挫けるなよ!」
あの時流した男の涙を想い出す・・・
声にならない嗚咽を漏らした奴は、
その無念を胸に収めて私の助言に答えてくれた。
私が今度答えてやる番なのである。
男の友情 !?
女性には金輪際判り得ぬ永遠の謎、男とは? 弱きもの ?
台風11号が、迫っている、被害のないことを願いながら、
今宵もまた、演歌に嵌る男がいる。