広告
日常生活

御伽の国の いちご日和

めずらしく昼前に予定の用事は終わった、
前から訪ねたいと思っていた小さな庭付きの喫茶店
数坪にしか満たない御伽の国の喫茶店は、
新進気鋭の建築家の手による。

昼休み時間を利用して訪ねた、
ちょうど数組のお客さんが帰った後で店内では
若いマスターと清純な感じの乙女が跡かたずけをして
いたところだった。

お伽の国、アンデルセンの世界、私は思わず形容した、
マスターが嬉しそうに挨拶を返した。

北側の入り口には3台分の駐車スペース、隣の自宅
Pと合わせると6台ほど駐車できる、
駐車スペースの東側に芝生の小さな庭、木製の席が
可愛らしい、
店内を南へ出るともうひとつの芝生の庭、ストーブ用の
マキが壇上に並んでいる、
ここにも恋人用の席が準備されていた。

私は、手製のイチゴジュースとクッキーを所望した、
たおやかな時間が流れる、

相前後してふた組の子供ずれの夫婦が見える、
微笑ましい団欒を目にして8月のお盆月を思っていた。

祖父母の代から引き継がれる若夫婦の目に、この
日本は、とんな形で写っているのだろうか ?

南側の庭の向こうに一台どうにか通れそうな道路が
東西に延びる、
その更に南側に、深い水路が上流のダムからの水を下流に
運んでいる。

たまに車が通るだけの幽玄峡は、お伽の国を偲ばせる、
息抜きに最適な喫茶店、今度ご案内いたしましょう、

帰りに自家製のいちごジャムを購入した、
毎朝恒例のコーヒーとトーストに添える、ささやかな
楽しみ、

小さなビンに「いちご日和」と 遠慮気味にシールが貼られて
いた。

店名は、このジャムの名前を取って付けている、
マスターの本業はいちごのハウス栽培、施設の子供たちを迎えて
喜ばれている。

開業間もないが、販路が次第に広がって問い合わせや注文が増え
て来た、
私一押しの若き起業家である。

思索の時間に、ストレス解消に、
いちご日和は貢献するだろう、明日を見据える若いマスター、
10年前の高校球児である。

夏の高校野球も大詰め、どんなフィナーレとなるだろうか?

御伽の国の いちご日和 それは 小さなダムの膝元にある。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

広告