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雑談

男達の挽歌  哀愁を帯びて

この歳に為っても武道、格闘技に触れるのは、
日本人だからである。

あの武士社会の作法、それは滅私奉公の厳しい掟、
飽食に明け暮れて、自由を履き違った現代人への
警鐘でもある。

叩かれて、蹴られて知る、人間の弱さと強さ、
男は皮膚の痛みと心の悩みを克服する為に生きて
いる。

私がオマージュを感じる男達!
ある公園に隣接して子供の通う保育園が在った、
ずいぶん昔の話である、

その頃の実話である、
母子家庭の子供がいた、小学生の彼は物静かな控え
目な子供だった、

ひとりでに公園に佇んでいた彼の前に数名の先輩が
立ち塞がった、お前は気にいらんと難癖つけて来た、

少年は無言で後ずさりしたが周囲を囲まれて逃げられ
なくなった、決まり悪そうに笑みを見せた彼の目は
一瞬、険な光を放った。

少年は無言で身構えた、ボクサが取る構えだった、
数分後、負けたのは先輩たち ?

頬を手で覆う者、腹を抑えて苦しむ者、地べたに座り
こむ者もいた。

自分の服装をハタイタ少年の口から発せられる言葉は
なかった、悲しい目をしてその場から去って行った。

数年後、スポーツ紙に、華々しく写真入りで載る少年の
姿があった、

プロボクシング界では名伯楽の呼び声高い◯◯会長が
手塩にかけるプロボクシングジム、

あの時の少年は、そのジムの所属ボクサーとして華々しく
登場した、

ガッツと同期だった私の後輩は、現在地元で実業家で成功、

頭角を現したが家庭の事情で故郷にUたんせざるを得なかった
在日の友、その後、いたいけな子供二人を残して旅立った。

彼等が青春の火を燃やしたジムは、日本有数のジムとして
名を残した。

在日の彼については、近所で小中と同級生だった大学空手の雄
K大空手部出身の後輩が・・・

「Sさん、Kはボクシング強いよ !」 といつも称えていた。

Kについては、私を慕う在日のNと一緒に来店した事がある、
それが初対面、彼も私の事は聞いていた・・・

穏やかな笑みを見せてくれたが飲むほどに酔う程に芯の強さを
垣間見せた、一瞬、挑発的な視線を向けた、

芦原会館初代と共通する闘争心を覗かせた、これが闘う男の
本能である、爽やかな笑顔を残して席を立った。

ひっそり咲いた家族の物語は、彼の死に依って運命が変わる。

時代はずいぶん経過して、その後の少年の消息は途絶えた !

寡黙な中に、芯を持った男たち、口八丁の対極に居て、事ある
時は、日本を想う男達、私の好む男達である。

「バシッ !」 無言でパンチが叩き込まれた !

その目は悲しみを宿して、男の後ろ姿は、哀愁を帯びていた。

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