人生の忘れ物 咲き匂う郷愁
午後9時、二次会たけなわ、
壮年の男女5人が笑顔を見せて入って来た、
・・・・・
先ほどカウンターのマスターに
「◯◯さん達見えてますか ?」
「もう見えると思います、あの席を用意して
います!」
私は、その人がマスターで、会いたいM君とは
気がつかない ?
彼も私が杉の子のマスターとは気がつかない?
数分後、「ああっ!」と同時に声が出た・・・
「杉の子のマスター?」 「M君!」
歳月は二人の男前を見事に解りにくい顔に変えて
いた、 感激の瞬間は「ああっ!」 で始まった。
・・・・・
そして彼らと彼女達はやって来た、
年長者の田舎の後輩 元部長と元課長のふたりは
家庭の事情が出来て残念だが欠席となった。
元部長N君、元課長Y君、手配願った元課長O君
と妻の元保育園長Iちゃん、彼女の後輩元保育園長
Kちゃん達で同窓会の開会である。
同級会メンバ-7名は隣の席だが私は同窓会の方に
付きっ切りとなった、
歳月はあっという間に昔に戻る、紅顔の美少年美少女
達が目の前にいる、何とも言えない感慨である。
生ビ-ルとサントリ-オ-ルドをキ-プして水割りと
オカキ等のつまみ、何と可愛らしい簡素な店だろう ?
経営者M君夫婦の人柄が見えてくる、
お客さんファ-スト、カウンタ- 別セットのお客さん
の接待の傍らマスタ-来てくれる、懐かしい、嬉しい!
彼らの内N君は大学時代帰郷の度に店へ来てくれていた、
積もる話は尽きない。
慶応義塾大学卒業のO君に触れておきたい、
仲間内でも控えめな紳士、ハシャグ同僚の傍で静かに
耳を傾けていた男だが、今宵は開襟を開いて昔話を
楽しく語ってくれた。
表に見せなかった内面に、私と共通する男の矜持を持って
いる、
愛妻Iちゃんを幸せにしてくれた良きパパにしてグランパパ
孫は少林寺拳法を杉の子同窓生のY先生に習っている御縁だ、
行きつ戻りつ話は尽きない。
別のスナック喫茶でカラオケ三昧の同級生の元へはとうとう
行けなかった、ごめんよ !
同窓生メンバ-の話に引き込まれてしまったのである。
私の予想、
O君の第2の人生は、素晴らしい花咲き匂う舞台でこそ
花開く予感がする、彼にはそれだけの才能がある。
Iちゃんの満面の笑顔に支えられて次のステップに登る、
勿論、先輩達やN君、Y君たちと共に開ける人生で有って
ほしい、私の願望を込めての願いである。
「杉の子 同窓生に乾杯!」
その後は、友とも別れ、私の師匠の元に向った、
新川の別邸で席が準備されていた、師匠夫婦と午前3時半
までビ-ルを頂きながら近況を語り合った。
静かな二階に寝床が設えられて、深い眠りに落ちた。
我が人生、最高 !
人生の忘れもの、触れ合った方々の近況に接して、感謝と
懺悔に手を合わせた。
あの人たちは今、尽くせなかった想いに、郷愁が咲き匂う。