その消息が気になっていた女友達がいる、
何かあったらメールを寄越してよ ?
そう伝えていたのだが音信不通で年を越した。
その彼女から待望の年賀状が届いた、手書きの
一文が添えられていて、胸の内が見えるように
思えた。
「東京での同級会が懐かしい」
聡明な才女だった彼女にある悲しみが襲って
辛い月日を数えている時、同級会が開催された。
彼女は、その想いを同級会の席で私と何人かに
語った、私の人生ではよく聞く試練だったが、
順調な人生を歩んだ彼女には耐え難い事だった。
友との往復書簡でもやり取りすれば気も紛れると
助言していたのである、しかし、彼女からの便り
は依然として無かった。
ひとりぽっちの孤独は、ともすれば声をあげて
泣きたいだろうな ?
負けず嫌いの性格だっただけに、辛さと悔しさに
さぞや煩悶したであろうと東京の空を仰いだ。
月日は悲しみを薄紙をはがすように癒してくれたで
あろうか彼女からの年賀状で私は胸をなで下ろした。
彼女の身を案じていた私だったが、
滋賀県の男友達の年賀状の便りを見て意を強くした
ところである。
「同級会を京都、滋賀方面で計画する」
東京の別の友からも同様な文面が綴られていた。
竹馬の友との同級会こそが彼女にとっての最高の癒し!
私は、そう確信している、
Kちゃん、
こうして貴女に便りできるだけ、あなたに話し掛けれる
だけでも幸せへの扉が開いたものと受け取っています。
東京の空は、
貴女以外にも私の言葉を楽しみに待っている人が居ます、
ピアノに触れたあの人もそうなんです、か細い身体で
頑張っていますよ !
病気を患い、ともすれば弱気になりがちな人もいて、
私は病気平癒のお守りを差し上げたいと依頼しています。
気弱な私に勇気をくれた女友達、故郷の女性たちからも
励ましの年賀状が届きました。
人間は、ひとりでは生きて行かれません、沢山の人々の
支えがあって頑張れるのです。
寒気の中に今日は、清々しい青空と小さな雲の仲間たちが
漂っています。
そう、貴女には幼友達の仲間がいる、地位名誉に関係なく
全て平等の仲間がね。
Kちゃん、今年は京都で逢いましょう、嬉し泣きしたって
良いんだよ !
悔しいって胸を叩いたっていいよ、全て受け止めてあげる
からネ。
Sは、昔に比べて少しだけ、頼もしい男になっています。
同級会では、記憶の玉手箱、皆んなで開けてみようか ?
ずっと、ずっと、あの昔、潮騒の聞こえる田舎は、無邪気な
時間を刻んでいました、みんな幸せに為ろうね・・・と !
そんなお姫様たちを振り返りながら
私、Sは、歯を食いしばって頑張ってきました。
困った人の杖に為りたい、なってあげなければ、そんな男の
気迫を培ってきたのです。
ふるさとは、どんなに苦労しても、けっして見捨てない !
頑張れ ! その足で歩くんだよ ! がんばれ と。
同級生 ! 竹馬の友 ! こんな嬉しいことは有りません、
Sは、貴女やみんなの同級生になれたことに感謝しています。
男とは・・・
京都の夜、同級会 !
素晴らしい笑顔を期待しています、負けるんじゃ ねえぞ !
・・・ K 子 !?
寒い夜は、人が 恋しい !
冠二郎の ♪ 酒場を聴いている・・・ お猪口を前に・・・
男って奴は 何て 切ないものか ?
涙って奴は ひとりでに出てきやがる、不思議だね ?
記憶の玉手箱
みんなひとりひとりの記憶の中にちゃんと納まっているからね。