レジェンド 御隠居
私が最も尊敬する郷土の大先輩がいる、県内有数のバンクで
出世階段を順調に登った、信念をお持ちのお人である。
昨日もある医院で鉢合わせとなった、
「S君、近い内君と僕とIとMで食事会を計画しているので
是非参加してくれ!」
嬉しい御宣託である!他の2人もバンクのOB、それぞれ悠々自適の引退後を送っている。
ひとりは絵に没頭する田舎の先輩、それも竹馬の友の義兄、
もうひとりは亡くなった同級生の弟、資産家へ養子に入った
気心の合う男。
依存のある筈がない、
「是非呼んでください、連絡をお待ちしております」
私とは義理に当たるが親戚に連なる御隠居さんである。
この方の面倒見の良さは頭がさがる、誰も真似のできない
人格者、私の交友関係に少なからず影響を受けた先輩です。
スキーの葛西選手を讃える「レジェンド」の言葉をそっくり
送りたい先輩である。
どれ程の郷土の後輩たちが先輩の引きで階段を上ったか数
知れない、終生恩義を忘れるべきではない、事ある毎に上層
部に進言された硬骨漢でもあった。
その大先輩のお声がかりである、行かずにおられようか !
他をキャンセルしてでも参加する。
「帰りはどうされますか ?」
「ハイヤーで帰るよ !」
80半ば、穏やかな佇まいの中に一本芯の通った昭和の始め!
ラグビーの名門大学を卒業した郷土の星!
その立ち振る舞いは、やり遂げた男の威厳が備わっている、
「いつまでも元気でいてください」私の車を見送る両の目が
慈愛に満ちていた。
孫の一人は名門大学医学部、現在ハーバードに留学している、
その名誉は内に秘め、清廉な生き様は見事の一言である。
偉大なるlegend ! 自慢の御隠居さん !
私の交友は勿体無い人々に囲まれて幸せこの上ない。
大事な予定が、そこに待っていた。