W先生の電話は突然だった、伝統空手の指導者、東京の大学では空手道部主将、W先生の数年前の主将は同郷の先輩、その子息は世界大会の優勝者にして現本部指導員。
W先生の大学の師は分裂前の最大伝統流派の本部師範、逸話の多い実力空手の第一人者、そうそうたる空手家が彼の周りには群雄割拠していた。
私の周囲にはそのようなつわもの達が空手から引退すると不思議なことに身体を壊す人が多い、私の師匠の兄弟子S先生も体調を壊された、現役では故芦原さん。
50才では早すぎる、しかし芦原館長の功績は、多彩な強い空手家、弟子を育てたことにある。八幡浜へ来た時から彼を眺めていたが、指導が上手かった、弟子の育成に見事な才能を発揮した、早逝が惜しまれる。
私は時々彼に逢いたくなると動画の彼に逢いに行く、眼光いまだ衰えず、独特の眼力が懐かしい、お互い他人を挟むと良い関係ばかりではなかったが、貧乏の時代のしかし、素直な人間性を見せてくれた良き思い出も多数残してくれた。
感謝。
W先生は、病魔に魅入られてその職場を昨年退職された、病気、障害についての相談だった、いつも出会うミニレスで落ち合った、随分久しぶりだが思ったより健康そうで何より安堵したのは精神的に安定して明るくなっていたことである。
道真会館初代館長、久保先生の話題が登った、小柄な身体の中に何処にそんな度胸が有るのかと驚嘆する胆力の持ち主でもある。
柔軟性のある性格はW先生と出会っても意気投合するのではないかと思われる、W先生が希望されるので出会いをセッティングさせてもらいたい。
男は苦境を経験するところに成長がある「なにくそ!」その魂は病魔を遠ざける、「W先生! 今度、私の親しいK住職のお寺へ行きますか、何か得られる筈です」
W先生の目が輝いた「連れて行って下さい!」 そのお寺は奈良の東大寺の末寺、人々の悩みを手助けすることで有名な南予のお寺さんである。
悩み事のある人は、私までご連絡ください、今月春季大祭法要が行われます。
武道の道を歩んだ人の良い点は、素直な気持ちを持ち得ること、謙虚に人の意見を聞くこと、その向こうに他力本願から自力本願へと希望を掴む事にある。
勇者達の顔が、追憶の彼方から蘇える、
「Sさん! オス ! しぶといな ! 押忍 !?」