後輩との再会、大阪行きが迫って来た !
「お父さん、Sさんからよ・・・」
後輩Aの妻が嬉しそうに旦那を呼んでいる。
「天王寺へ連れて行ってあげるよ!」
電話を代わった後輩がそう言ってくれた。
勿論夫婦の言葉はバリバリの大阪弁、
聞いていてこちらまで明るくワクワクする!
大阪弁は大阪人間は日本人のありのままの姿、
庶民の汗と涙がそこはかとなく匂う、いいなぁ!
今回再会する3人の後輩は私の2級下の男達、
片親で幼少期を過ごし、寂しい家庭に育った。
私は陰気な先輩のイジメにあった苛められっ子、
それ故に貧しい人、寂しい人の気持ちが分かる
子供だった。
だが悲しいことに小柄で全てに劣等感の塊でも
あった私は助けてやる術さえ持ち合わせなかった。
大人になって、人の何たるかを分かるのは、武道に
傾注してからである、その礎は空手の師匠にある、
悪に挑む強い意志を持ち情の分かる男気の人だった。
その人間味を見て私の弱者への思いが花開いていく、
しかし、肉親とのしがらみで私の人生は貧困を余儀なく
された、弱者への手助けは要として出来なかった。
様々な人の縁を得て僅かながらも余裕が出来たことで、
永年の後輩への想いが湧いてきたのである、
まず、飯を食べよう! 彼らの苦労を聞いてみたい ?
片親に育つという淋しさ、貧困の悲しみ、我が身で
受け止めてやりたい、大阪行きの意味がここにある。
先般、故郷の同級生の喫茶店で再会した6級下の後輩は、
高校生の頃に出会いましたと振り返ってくれた。
その時感じた私への思いは「Sさんは、男気のある人」
と感じたそうである、師匠に鍛えられていた頃である。
昔、親しく付き合う在日の友がいた、彼は若くして
亡くなったが、民族の垣根を越えて友情を育んだ。
酒で損をした、無茶もしたが私には本音を語ってくれた、
「Sさん!・・」淋しさと分かってもらえぬもどかしさ?
いい男だった !
別の項で又彼との友情を語ってみたい、
男とは、
損をしてでも誠を貫く、「強気をくじき弱きを助ける」男
私はそんな男でありたい。
私は寂しい男達が好きだ !
大阪の後輩の笑顔に、そっと涙を拭う男がいるに違いない。
「よく頑張ったね !」
あとに続く言葉は見当たらない !?