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日常生活

鎮魂の雨  降りやまず

鎮魂の雨

用事を済ませて4時ごろの帰り道、しとしと淋しげに降る雨の中を

ある公園の傍に差し掛かった時である、いつもは通り過ぎる辺りで

車を止めた。

 

新しく整備された公園の樹木を眺めながらふっとある幹の太い根本に

目を留めた、何か白いものが目に入ったからである。

私の車から2~30m先、雨のせいでそれが何か分からない。

 

普段であればそのまま通り過ぎる日常なのだが、何故か気になって

双眼鏡を取り出した、数十センチの白い物体は白色の犬の横たわった

姿だった、死んでいる。

 

この2~3ケ月、河川で前足を怪我して不自由に歩く黒色の2匹の犬を

見て不憫に思っていたところだったのである。

 

気になって薄暗くなって再び現場に戻った私の目に二匹の野犬がその

白犬を悼んで回りに佇んでいた、人間よ! 何も感じないか ?

ゲスの極みである。

 

近所の奥さんは、もっと下流で前足を切断された子犬を見たと眉を雲ら

せ話されたことがある、どうやらイノシシ退治の罠トラバサミ等を設置

しているのだろうと話された。

 

以前にも紹介したことだが、この東温市は気候も温暖で人も物静かな

良い人たちが多く住んでいる、だがひとつ私が不愉快に思うことは、

生きるもの達への敬愛の情が感じられないことである。

 

名のある議員が、又役職にある者が、棒を持って野犬を撲殺する等の

噂が立ったほどである、人間の冷徹さを見事に見せつけている。

 

そう云うこともあって、その後出合った動物愛護に造詣の深い奥様は

「Sさん、毒殺じゃないの ?」 マスコミに訴えると激高された。

 

市長初め行政に携わる人たちとは友好的な日常の私だが、地域だけで

なく行政に於いてもこの捨て犬、捨て猫対策は眉をひそめる事が多い。

 

鎮魂の雨は夜になっても止まない、動物愛護の人たちだけが彼らの安らぎ

なのである、どんな犬好が餌を差し出しても彼らは怯えて逃げていく、

これが人間に対する長年共に連れ添ったか弱気動物達の正直な想いなのだ。

 

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