落ち込んでいては始まらない、
寒気が夜通し膝小僧を丸めた。
おお寒い ?
ウツラウツラしながら布団にくるまる、夜が明けると空は上天気 「わお!」
午前、午後と夜、それぞれの予定を追って仕事を進める、それにしても、人生とは不思議なもの ?
葬儀告別式に参列した同年輩は久しぶりの人が多かったせいでもあるが、皆随分歳を召されたものである。
逆に相手から見ればこちらも同じに見られていることになる。
高速道行き帰りは、友との間で様々な話題に及んで盛り上がった、
葬儀の後、棺桶へ花を手向けながら呟いたことで私の真意は理解してくれただろう。
人の命の儚さと尊厳さ、その人の生き様が見事に現れる、死んで後に人は評価が別れる。
昨日の友は、私達に人間とはどうあるべきか ?どうあらねばならぬのかを教えてくれた、素晴らしいお手本を見せてくれたのである。
私の今後に多大な教訓を与えてくれた思いがする、
「同級生でいてくれてありがとう!」穏やかに眠っているような彼に言葉をかけた。
別れを惜しみ嘆く家族の後ろ姿を見ながら斎場を後にした。
人が生まれて死んで行く、
ただ漠然と過ごすのではなく何をこの世に残すか、行きた証、子供、孫へと引き継がれる徳を積む。
安らかな眠りについた友は、立派にやり遂げた、どちらかと言えば口数の少ない男、本来のリーダー資質を隠して他の者にそのポジションを譲った。
私が最も認めたい男の中の男である。
子供時代から野球道に優れた男は、明日の世に幼くして逝った子供達や少年達にバットを構えて教えるに違いない、草野球、天国チームを率いて。
誉ある友の名は
楠本宇佐男
同級生みんなの自慢、我らの竹馬の友 通称 うさ!
蜜柑と座敷雛の里
真穴
柔らかな日差しが斎場を照らしていた。
うさよ! 君は立派にやり遂げた、名事業家だった親父さんと慈愛に満ちたお袋さんが、
「御苦労様でした!」と労ってくれるに違いない!
日本の一流大企業に就職したスポーツマン、父親の病弱も有って家業を継ぐため帰郷した、将来の出世を断念しての英断だった、名よりも実を取った男の中の男、男の晴れ姿、重役の地位を見たかった !
我々同級生も君に恥じない余生を送ります、行き過ぎたことが有ればブレーキを掛けてくれ!
「ここに誓う !?」