時間に余裕を持って家を出た、
見事な青空が私を待っていた、快晴の祭日、
伊予灘は薄水色(うすみずいろ)淡い青緑色の 中に輝いていた。
柔らかな陽光が、その満ち足りた幸せ感がハンドルの向こうまで続いている、これから向かって会う人は平成の若者である。
私たちが昭和と別れたあの30年前と同じ感慨に身を置く文武両道を兼ね備えた男性である。
住職夫人一押しの好青年、丁重な文章がその期待感を表していた。
昼時を過ぎたミニレスなのにまだ沢山の顧客が舌鼓を打っていた我々はドリンクバーを所望する。
やや目の鋭い男前は、それでも臆することなく私に視線を向けて来た、この落ち着きようは小学校へ入って直ぐ求めた武道、空手道にある、 押忍。
楽しい団欒は空手の話から始まった、家族のことが語られ始めた、私の古風な作法が刺激されることになる
彼の仕事は白衣の先生、身体の不自由な人たちのために日夜尽くしている、空手で養った正義感にこの一年の居合道が磨きをかける 。
そう言えば昨日出会った若者も大学空手で精進した男性、今も各大会に出場している、昨年の県武道館での全国大会では、今年準優勝の強者を僅差に追い詰めた選手だった。
武道に向かう男たち、次代のエースたちが私の側から飛び立って行く !
「卑怯者になるな ! 下がるな ? 前えっ !」
楽しいお茶会が終わった、十七歳で父を亡くした若者は苦労した母を思う優しい男に成長した、私はこのような境遇の人間が好きである。
気合い一閃 !
裂帛は腹に収めて、前を向け !
未練を残して黄泉の国へ旅立った父を忘れるな !母と弟、3人の家族に笑顔の来る明日はそこに来ている。
午後のある時刻、私の車は夕陽の美しい町 双海へと恋人岬を目指した。
薄水色の空が、夕焼けに映えて、薄紫を呈していた、
薄紫の 行く手に 希望が顔を覗かせた ⁉️