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ファンタジーな君

ファンタジーな 君

キラキラとまるで星が降るように空から何かが落ちて来た。

一条の太い束を囲むように何筋もの光線が降ってくる。

私の別宅への山道、それは鬱蒼と茂る檜の保安林、車はその中間点にさしかかっていた、木洩れ陽の幻想に行き当たった。

おとぎの世界に出てくる小人たちの住む村、軽やかに小鳥達がさえずり、遠くからニホンザルの鳴き声が聞こえて来る。

この山里にも近年猿の群れが降りてくるようになった。のどかだった年寄りだけの寂れた村に動物達が涼を求めてやって来た。

住心地の良い村、いじめる人のいない天国、生き物達のささやかな希望の園が此処には在った。

小さなひな壇のまるで座敷ビナの世界、故郷のあの光景がここにひらけていた、ファンタジック、ファンタジーな世界。

小人達と小鳥たちの夢の世界がズームアップされる、

さあ !   行ってみようか   ?

以前雨のスダレと形容した幻想的情景があったが、今日のそれはまさしく光りのスダレと呼ぶに相応しい光景だった。

車を狭い山側に止めて円形の木漏れ陽の中に足を踏み入れた。

眩しいばかりの陽光が額に熱風を吹きつけた、しかし蒸し暑い感覚とは逆の爽やかな心地よさを感じさせた。

眩しさに慣れると、円形のカ-テンはゆっくりと廻り始めて次第にその輪が広がって行った。

見たことのない広大な花壇が色鮮やかな花々を花のジュタンと見間違うように敷き詰めている。

あちらこちらで小さな池が大小さまざまな噴水を吹き上げていた。そこから来る冷風がなんとも気持ちよい。

鈴の鳴るように鐘がなる、とんがり帽子の校舎が見えてきた、見覚えのある女性達が数名笑顔を見せていた。

子供から大人まで、私の思考がそこで止った、有り得ない情景が眼前に広がっていたのである。

「A子、Bちゃん、C~、etc、・・・」 過去にすれ違った女性達、これはいったい ?

誰も声を出さない、口は開けているのに言葉が出ない、無言劇、その表情は人それぞれ ? 

同じなのは 全員懐かしそうに笑みを見せていることだった。

一瞬、顔を天空に向ける、二つの太陽が東と西の居るような錯覚、輪郭はつかめないものの存在感は充分在った。

目元を彼女達の元へ戻した、やわらかな長い椅子に私は招き入れられた。

「何故? あの時黙って私の元を去ったの ?」 小柄で華奢なA子が云うと横の長身のBちゃんか続けた「二股なんて酷かったわね !」  その時初めて彼女達の口元から言葉が洩れた !

額から脂汗が出て来る、私の体は硬直した。 「ごめんよ! ごめんね!」

何故か青い鳥が上空を舞っていた、「素直に白状シナよ ? 」

腰を降ろした木の椅子の向こうに視線を這わせた、 思わず背筋が凍る恐怖を覚えた、断崖絶壁がまっさかさまに落ちていた。

「うっ!」 「が~ん!」 何かが耳元で炸裂した、女性達の顔が怖い ! ぼんやりと意識が戻ってくる、車のハンドルに額を乗せていた、

山道の曲がり角でハンドルを切り損ねて斜面の 木の根元に右前輪を打ち付けていた、気失いしていたのである。

通りかかった元さんが、運転席側の窓ガラスを叩いていた !

それにしてももっと優しくしてよ ! ファンタジ-なお姫様たち !?

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