心のポケット
あなたは思い出を何処に仕舞っていますか、
あの日あの時の笑顔や泣き顔を何処に収めていますか。
晴れた日のあの街角、雨の日の軒下、舞い散る雪景色の裏通り、
岸壁に漂う別れの花束が未練を残して沈んだ。
青春とは儚く飛び散る花びら、逃げても追ってくる未練。
あの思い出は残していますか、消してしまったのですか、
私は全て、心のポケットに仕舞っています。
折々の追憶に、少しずつ取り出して偲んでいます。
それが済むともう一度心の窓を開けてそのポケットに仕舞います。
忘れたい、いや忘れられない思い出に、心が震えます、
そんな時、その思い出が隙間から漏れる、胸の痛みを伴って。
心のポケット
たまに、あの日の衝撃が蘇る、雄叫びをあげてこぶしが、
相手のみぞうちに入った、
恨めしげに見上げた両の目から涙が溢れた、「ぐっ・・・!」
後悔は、けっして前悔にはならない、だから後悔なのさ。
心のポケット
あなたは、どんなポケットを持っていますか、
優しさと温もりと、大きな包容力と、侵されない強い生地と、
想い出を粗末にしてはいませんか、
花火があがり、人並みが揺れて、そしてあの港町に歓声があがった。
失くさないで思い出を・・・
だから入れ物が必要です。
心のポケット
今日も大事に持っています。心のポケット、心に抱いて。