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思い出

男の美学 相打ち

相打ち        

戦っている双方が同時に相手をうつこと。

相討ち       

2人以上が協力して1人の敵を討つこと。

「勝つとは言わんが、負けるつもりはないよ   !」若気の至り、緊迫した場面で放った言葉   !虎の威を借りた相手に放った言葉だった。

その根底には常に相打ちという覚悟が有るからである。

ある組織で弱いものをいじめる先輩達がいた、そこには必ず太鼓持ちがいるものである、いわば使い走り、こんなのが弱い者をいたぶる。

案の定、先輩達がたむろする倉庫の陰へ走った、言いつけである   ?

後から分別のある年配の先輩が言葉を添えた、「(先輩たちが) 横着だと言ってるよ  !」

普段通り私は、淡々と答えた、「直接文句を言えと言っといてください  !」

先輩達からの返事は帰らなかった、何事もなく過ぎた。

普段おとなしくしている私だが、弱い者と強い者に向ける闘志は区別していた。

温厚なSさん、この建前は誰の前でも同じだが、横着な先輩には、別の面を見せていた。

( 来るならいつでも相手になるぞ   ! )この気構えだけは忘れなかった。

私が一番気に入らなかったのは、許せなかったのは、3級上の高校の先輩だった。

普通なら先輩に敬意を表する私だが、柔道の腕をカサにきて弱い者に冷たい卑劣が許せなかった。

180 cmはあろうかという巨漢、戦う相手に不足はない !しかし、彼が面と向かって私に向かうことはなかった。

この小僧がといまいましく思うガキにいささか動転させられる場面が来る、彼らの驚嘆は使い走りのおべんちゃらから知らされた。

ある時、チンピラが会社に乗り込んで来た、私と仲の良いおとなしい先輩にイチャモンをつけに来たのである。

「外へ出ろ ! やってやる  !」  と息巻いている。

事務室は騒然としていた、事務員は震え上がり全員立ち上がって固唾を飲んでいた。

私は、内情を探る為、少し控えてやりとりを見ていた。

私が私淑していた刑事上がりの課長が1人で応対していた、巨漢柔道マン、陰気な兄貴株はじめ面々は黙って眺めるだけだった。

「課長!警察を呼ぶ事はありません、僕が相手をします!」事務室を出てドアの外に立つチンピラの前に立った、

二、三のやりとりの後一喝した   !「出ろと言っているからAさんついて行ったら良いですよ、後は僕が相手しますから   !」  チンピラの勢いは萎えた。

数日後、その私におまけが付いてくる、S課長から警察官( 刑事 ) になれ! 推薦するとの要望が出るのである。

意地悪上司に辟易していた同僚達がそっと顔を出してきた、

「Sよ! かっこよかった ! ありがとう !」

目じりに涙が滲む者もいた、宮仕えの辛さは皆同じだった。

若気の至り、男23才   港町は初夏を迎えていた。

男の美学 「相打ち、相討ち!」       !?

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