記憶の器
楽しい語らいと美味しい酒アンド料理、座は最高潮に盛り上がって来た。
私以外は、生ビールからハイボール、私一人だけがノンアルコールの小瓶 !
・・・
「あれっ!もう前に終わったじゃない?」友人の手術の件を問うた私に家人の言葉、
「もう、手術じゃないのか?」と聞いた後に帰って来た返事、一瞬頭の整理が付かない、
(あれっ?) 次第に飲み込めて来た、(そうだったんだ !)記憶の減退、物忘れ ー 認知症の発症 ?
「大丈夫 ?」
座が笑いに変わった、そして澱んだ !
人間は歳をとると記憶がマダラに飛び飛びになる、昔の痴呆、現代の認知症の始まり・・・
そこで私の頭の中で一昨夜の飲み会の場面が妙に蘇って来たのである。
生ビールの大、大グラスのハイボール、なのに私は小さな小瓶のノンアルコール、入る量が違う ?
そこで酒の器という言葉が、脳内を駆け巡り始めた、例えば、瓶ビールを大きなグラスへお酌していて、小さなグラスに変わると、思わず溢れることがある。
「ああ! しまった !」
酒の器 ー 記憶の器。
一定量の記憶は、前から順に消えていく、齢とともにその容量が小さくなる為、記憶が薄れるのである。
薄れてしまう訳ではないが、記憶の器から漏れ出るのである。
ハイボールのオカワリで氷で薄くなったハイボールが濃ゆくなる、切れ切れの記憶が刺激によって思い出す。
何か変だぞ ?
わしは大丈夫か ?
文化の日の繰り替え休業、青空に漂う巨大な雲が、「どうした、気にすることないぞ、わし等いつバラバラになるかも知れんぜよ、ノンビリするのよ!」
記憶の器、酒の器、
その時、ピカー! 眩しい陽の光が差し込んで来た !?