面影の人
電車は市駅に着いた、それほど多くはない乗客に混じって下車した、その時、ひとりの娘が前を横切った。
何気なく視線を這わせた私は「ええ! まさか ?」 一瞬言葉を飲み込んだ。
歳の頃は二十歳過ぎ、おかっぱ頭の黒髪、はち切れそうなジーパン姿、その横顔に衝撃を受けたのである。
電車の中でいつもの癖、うつらうつらとうたたねしたことも有って、ボンヤリ状態での下車は、現実とポエムの境目を見失った。
彼女は停車中の坊ちゃん列車の方へ向かう、無意識に後を追う形になった、それにしても似た人がいるものだ、向こうで、こちらを向いて笑顔の女性がいる、彼女と視線が合うと彼女の白い歯がこぼれた。
一言二言話すと二人は左右に分かれた、私も別れる分技点にさしかかっていた、それにしても似ている、夢か幻か、そのせいか彼女が着ていた上着は何んだったか、記憶がない。
二十代の多感な時に私は恋をした、それは片想いの悲恋に終わったが、その後の私の女性観が形作られるキッカケになった。
恋は全て男の責任、勇気なき者は悲恋を引き寄せる、
勇気ある者だけが恋を手にするのである。
あの時の彼女が昇進祝いの知人のお祝い会に行く私の前に姿を見せた、真正面の姿形を見れなかったが横顔だけは本人と瓜二つだった。
ジーパンがはち切れんばかりの健康美、横顔があまりに似ていた、今頃とはいえおかっぱ頭が憎らしい、想像だが病院の検査室あたりに勤務している女性ではないか ?
その後ろ姿を見送りながら、 良い人にめぐり逢えます様にと心に念じた。
銀天街では私独特の歩行術で歩く、二番町はすぐの間に到着、その間のすれ違う顔・顔の読顔術の披露は次項に譲りたい。
3人の二次会はカラオケ三昧、二番町の夜は昇進を祝ってネオンが一層瞬いた、酔客、タクシー、混存の喧騒はやむことはなかった。
悲恋に乾杯 !
思い出よありがとう !
幻よこんにちは !
あの日の歳重ねる女性に乾杯 ! さらなる幸せを祈ります。
💌 黒髪のジーパン娘
「神様の粋な計らい」 「人を愛する誠へのご褒美」
私は、そのように受け取っています。
男達の純情に ・ 乾杯 !?