男の役目は三枚目
男とは切なきもの、そして愛しき生き物、男達数人で飲み会が開かれた、私はオブザーバーで若者達に招かれた。
外は木枯らしの吹く冬真っ最中なのに街中の居酒屋は🏮オヤジの躾が行き届いて従業員の接待には温もりが行き届いていた。
宴もたけなわ、仕事の話からお互いのプライバシーに話題は移った、最後に私の番が来て若い視線が熱く注がれた。
鍋の湯気が動悸を隠してくれる四人部屋、隣の笑い声が青春の灯火を扇ぎ立てる。
「そうだなぁ! それ程の思い出はないけど言っちゃおうか ?」 私はおどけて見せた !
私の青春は20歳迄と以降に大きく分かれる。
その恋は、
18歳から~何ん10何才までの長丁場を経るが思わぬ形で終止符を打つことになった。
今では廃れてしまったようなプラトニックラブ❤️当時はそれが主流だった、女性の地位ももちろん。
淡い恋心の高校生に押しかける勇気はなかった、遠くから眺めるのがオチ ?
一回のラブレターは後輩の悪ガキ達の格好の標的になって盗み読みされた。
いい歳になって私の元へ来たその後輩が告白した、「彼女のカバンから先輩の手紙を抜き取って仲間と回し読みしたのです、ゴメンね !」
後の祭り、怒れる筈もない(馬鹿者達が !)私は(しょうがないね?) と笑い飛ばした。
M、Y、Uの3人は女学生の近所の同級生に聞いて田舎道を急いだ・・・
家の手前まで来ると小学生4~5人がたむろしていた、「ボク!Aちゃんの家知らない ?」 番長Mが尋ねた。
「ボクの家の姉ちゃんだから案内してあげる・・・」 目の前の坂道が揺れた ?
長い月日、年月は、人々から恨みつらみを拭い去る、忘却とは忘れ去ることなり・・・?」
菊田一夫 作 「君の名は」の名ナレーションが後になって男の弧線を震わせる。
無知とは判断力の欠陥、打つ手なしの意気地なし !
淡い恋心は、男女の真意に関係なく忘却に消えた。
女性の真意を知るには長い苦難の道が必要だった、年老いてゆく男女に神様は粋な計らいをするのである。
人を介して、双方共に実らなかった初恋と認識していたことを知る !男にとって、その事実を知るだけで充分だった。
男の話に湿り気はない、愉快な三枚目がそこにはいた。
令和が苦難の道になろうと、日本人としてのアイデンティティを失わない限り希望は光り輝く。
居酒屋では!🏮悲しみも涙も似合わない、笑いが有ればそれだけで満足。
男の昔話しに、座は爆笑、爆笑で渦巻いた !?