「気に入らんから、応じる事はできない !」集会場にやって来た有力者の返答だった。
( 困ったな !)私のいつわざる心境である、その瞬間頭の中では何かが猛烈に回転をし始めた。
その同意を頂かないと長い期間の苦労が徒労に終わる。
全ての計画がご破算になる、「困ったな !」人間は窮すると思考が停止する、しかし私の場合は火事場の馬鹿力が出るから不思議である。
これもその場しのぎで切り抜けるのではなく、真正面から誠を尽くす姿を見てもらう事で理解を得ることになる、今回もそうなった。
順々と事の仔細を説明する、その責任において私が受ける、厳しい相手の表情に笑顔が戻った。
「押しましょう !」そう言って署名捺印をもらった、有り難い !人間は事に臨んで心に余裕が出来ると「平常心」相手の弧線に触れる、こちらの誠意が伝わる。
まるで喧嘩 !
そんな場面で笑顔と冗談が見せられる人は最悪の舞台から明るいフィナーレへと進む事ができる、こうなるともう、修羅場を経験しているかどうかの違いになる。
余裕が出来ることで、楽天的になることで相手に与える場の雰囲気が違う、誰でも重苦しい場面は欲しくない。
同席の役員さんの協力を得て、話しは終わった、人間関係の誤解は、まずこちらが精一杯の誠意を見せることから始まる。
逃げない事 !
「私が責任を持ちます !」にこやかな談笑で幕は降りた。
ところが、一難去ってまた一難 !
上手くいくはずの縁談話に暗雲が立ち込み始めた。
父君にどう説明しようか !
( どうしたものか ? )
男の見せ所が迫っている、「ううん! さて・・?」