時間の概念 ふっ! 一息ついて
分かりやすく言えば野球のピッチャーの投球、又はボクサーのパンチ、乗り物のスピードでも良い、側で見る人、乗っている人、受ける感じは千差万別。
速すぎて見えない、まるでゆっくりスローモーション、「今の球何キロ出ている、速えーなぁ ! 何だあいつ、パンチが速すぎて見えないよ !」
軍事の面での速さ音速5以上その上ジグザグ低空飛行、それじゃ撃ち落せない、防御できない超音速飛行物体、そんな魔の時間を我々は認識させられているのである。
人間の目は瞬時に目を閉じる癖がある、「えっ!もう行ったの速えーなぁ !」気がついたらもう迫っていた、防御の体制さえ取れない。
軍事のイタチごっこ、動いてこそ相手を負かせる近代兵器、ただ静かに待つ、音を出すなよ! 海の底で待つ潜水艦 !
動と静、この差が人の命を左右する、それどころか国家の命運さえ左右する。
男は、怒るでなくビビるでなく無表情に立っていた、粋がるチンピラが大振りのフックを放った「ああ!やられた」仲間は一瞬そう思った、しかし倒れたのは殴って来たチンピラだった。
運動神経と経験、場数ともいい、修練の賜物とも言う !電光石火 ! 研ぎ澄まされた拳は相手の左テンプルにヒットした。
その反撃のパンチが見えた者はいなかった ?彼は黙々とプロボクシングのジムでトレーニングしていた、荒ぶる心を鎮めるため平常心を養うため、彼の仕事は銀行マン。
小さい頃からのダチ公、「Sよ! 俺のパンチを受けて見る ?」ある時、彼が冗談を交えて挑発して来た、「よし! やるか !」 挑発に乗った俺 ! もちろん冗談 ?
1mの距離をとって相対した、彼の目は熱く燃えた !ジッと目が据わった身体は自然体、両手はダラリと両の脇に下げて、どちらの拳が来るか分からない、呼吸の乱れもない。
一瞬、左の頬に風が走った、彼の右フックが目の前を振り切った、目にも留まらぬ速さである、普通の人は避けきれない、チンピラでは無理だろう ?
彼はニヤリと表情を緩めた、「さア! 今度はお前だよ !」再び2人は1mの距離を置いた「いつでも殴って来い !」 と俺 !
彼の目が光った ! 一瞬 ! 今度は真一文字にストレートが目に迫った、瞬間! 俺は僅かに左肩を引いて拳をかわした、条件反射 で右の蹴りを彼のみぞおち・水月へ蹴り込んだ、もちろん当てない、寸止め !
[相打ち !]
一瞬の攻防 ?側で見ていた後輩が大きく息を吐いた、頬が紅潮していた。
男同士はいい ! 貴様と俺なら 尚 いい !
後輩の彼女がウットリ2人を見つめていた、後輩からの後日談、「Sさん! 男は体育会系が良い、あなたもスポーツしなさいって !」
[時は、昭和40年代半ば・・・]
秋の気配が男の頬に触れた、古びた町並みに秋祭りの太鼓の音が響いて来た !?