一期一会
先日のことだった・・・
家の中で私が一番落ち着ける場所のトイレへ入っている時、玄関のベルが鳴った。
「よりによってこんな時に ?」それでも急いで出て行った、玄関の小窓を開けると、30半ばの作業着姿の営業マンが少しぎこちない笑顔で立っていた。
建築関係の仕事をしているが営業を兼ねて挨拶に来たのである、さわやかな青年だった、少し話を伺うことにして私の方も話しかけた。
他の会社に下積みに出ていたのだが、父親が突然倒れたため、家の父を手伝うため退社したという、こうして営業に回って来たのである。
私は若い人を見ると、我が家の愚息たちに重ねて見る、もしもこうして人様に頭を下げて回る子供達ならどうだろう、冷たく厳しく接する人がほとんどだろう ?
その時の息子たちの戸惑い、立ち往生する姿が瞼に浮かぶ !親としてどうだろう、谷底へ突き落とす親父と息子の教育だとグッとガマンの親心。
情を弁えた大人は殆どいないと思うが、もし暖かい言葉を掛けてくれる人がいれば、息子たちの胸に何が思い浮かぶだろう ? そのことに私は想いが向くのです。
立ち話だったが、しばし話は続いた、別れに一個のコーヒーを渡した、「今度、君へのご祝儀に仕事を紹介するよ、お父さんを大事にしてよ !」
予期せぬ言葉に青年の目が見開いた「ありがとうございます !」
これで終わるのが普通の人たちです、それから1日置いてその青年が再び訪ねて来たのである。
「先日は、ありがとうございました ! これ飲んでください。」彼の手にはコーヒーひとケースが抱えられていた。
「今度、喫茶店でお茶を飲もうか ? 連絡するからね !」「ありがとうございます ! 待っています !」彼の顔は輝いていた。
ここで皆さんにお聞きしたいと思います !
現代年寄りに限らず若い人にも脳梗塞という病に倒れる人は多い、 ほとんど徒労に終わる営業活動から疲れて帰る息子の口から、もし、彼の仕事に理解を示し、優しい言葉をかけてくれる人がいる事を聞けば、不自由な身の父親はどう思うだろう ?
脳梗塞に倒れて今、息子の頑張りを見る父親の心の内は何を思うだろうか ?私は親孝行しないままあの世へ見送った親父を思い出している、
ブログに向かう私の目から不覚にも涙が出て来た。
「必ず、仕事を紹介してあげるから、頑張って待っていてよ !」
一期一会
久しぶりにこの格言を思い出した、一期一会、
私が自分を褒めるとすれば、付き合いの長い短いでなく、昨日今日知った人でも仲良くなれる、この性格を褒めてやりたい、どれほどの人たちと、こうして友達になれたことか。
一期一会
私を表すには最も適した言葉である !?