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フィクション, 宇宙

星に祈りを 其の弐

星に祈りを 其の弐

( 人類への警告の書 )

それは、我々人間にとって想像さえできない地獄絵だった、地球が健全な時代には一部の地域で特定の動物達が繰り広げるパノラマ調の風景に過ぎなかったのである。

ボロボロの衣服(ほとんど樹木の皮)を着た骨と皮の人間たちが僅かにアマ梅雨を凌ぐだけの洞窟で暮らしていた、冷静に見る人がいれば、あの栄華を競った人間達だと誰が思うだろうか  ?

核戦争の爪跡、成れの果てと思うには長い時間が必要である、核は地球を一変させた、原始の昔に戻した、見る風景はそれ程慟哭・殺伐の世界だったのである。

茶褐色に焦げた一面の殺風景、そこには形あるもの全て見当たらない死の谷、文明の残影さえ伺う事は出来なかった。

私が其の壱で危惧した事象が目の前に広がる  !核被害は生きる者達の姿形、その性質さえも変えてしまった。

従順化か凶暴化  ! あのサバンナの弱肉強食が人間をも巻き込んで現実のものとしていた。

核戦争前には観光目的だった弱肉強食の世界が日常の世界として繰り広げられていたのである、

インパラ、ガゼル、シマウマ、たち草食動物は、健気にも逃げ足で危機を脱出することも出来たが、それの叶わぬ人間はライオン、ヒョウ、コドモドラゴン、ハイエナ、リカオン、ワニ、等に出会った段階で食される運命をたどる、逃げ果せる足がなかったのである。

そこには阿鼻叫喚の世界が展開していた、何故に無辜の子孫がこの呪わしい運命に合うのか、神がいればおびただしい涙を流されるだろうに   !

栄華を極めた人間の行く末はかくも無残な未来だったのである、人間もそうだが他の動植物も核爆発による遺伝子の異変で巨大化、狂暴化に至る、丸裸の人間には抗する科学の利器もなかった。

DNAの異常は人間の追憶さえ奪っていた、辛うじて残っていた思考の持ち主が遠い昔の栄華を偲んで泣き暮れるのみである。

人間とは懲りない生き物、他に思いが向かない薄情者、そのツケは何の恨みも落ち度もない未来の子孫にかかる不条理、慟哭の彼らに救いはないのか     ?

星に願いを !  星に祈りを   !

私が密かに願望する、子孫への想い   !

地球外生命体との、善意に基づく、宇宙人との邂逅である、文明の発達した宇宙人の存在である、彼らは荒廃した現在の人類を長い年月観察していた ( はずである! )

この核戦争、或いは将来の人間地獄を必ずやシュミレーションしている、敢えて核を撃たせて地球を一旦処罰する、人間個々にも罰を与える、そのモデルにとってはアルマゲドンだが人間再生には産みの苦しみ !

星に祈りを、善意の宇宙人の存在を切に願う、この一点だけが人類救済の秘訣なのかもしれない、神をも恐れぬ全体主義、果たして人間たちは学習を得ただろうか   ?

窓から吹き込んでくる3月の夜風が、程よい心地よさで頬をそよぐ、「坊や !  寝付いたわよ   !」妻のホッとした囁きが一家の幸せを表している。

このささやかな幸せがいつまでも続きますように、企業戦士の夫は思わず笑みを返した。

懲りない人間への御使い、天と地が何かを暗示し始めた、それを理解する謙虚さが人間には残っているだろうか   ?

アルマゲドンはそれぞれの胸の内にある、目を覚ませ人間達よ。

善意の宇宙人が、地球の物差しで何かを示唆してくれるだろう  !何処に向かって行けば良いのか、子孫が血を吐く苦しみに合わぬ為・・・!

今この世で惨殺の限りを尽くす悪魔を退治する、見ておけば良い。

切に願う      星に祈りを             !?

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