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雑談

あの鐘を鳴らすのはあなた 「黄昏」

今日も暑い日だった、
午後を回った役所は冷房が効いて涼しげな雰囲気を醸し出していた。
市役所の担当者に断りを入れて直接県の担当部署に出向いた。

担当者、係長が応接セットで応対となった、
困難な案件である、役所と何度も交渉しないと打開策はありえない、
通常ならば、真面目な実務者であれば当に投げ出すほどの難問だった。

しかし、依頼人の藁にも縋る気持ちが分かるだけに辛抱して相談して
いるのである、行政事務と現実との乖離、その溝を縮めるのは難しい。

二件別々の相談だが、どう考えても困難さは変わらない、
私を突き動かすのは、ただ依頼人の内情が分かっているだけに助けたい
この思いだけである。

冷徹な役所の回答の前に私の責任感も潰えそうになった、
「もういいか! ここまで頑張ったのだから?」暑さの所為もあって
そんな囁きも耳の奥から聞こえてくる、

一つだけ言える事は、素人の依頼人は、頼めば何事も簡単に出来ると
思っていることである、だから本当の意味で我々の有り難味が分からない。

役所の回答、杓子定規な指導、それやこれやで私の責任感も萎んできた、
( もういいか ? ) 役所を後にして断りの理由をあれこれ考えていた。

物事は、見切りをつけることも大切である貴重な時間は後戻りが出来ない、
犠牲を強いて来た家族のためにもイエス、ノ-のメリハリが必要なことを
考えていた。

仲介の労をとったAさんは、「Sさん、頑張ったのだからもういいですよ!」
いたわりの優しい言葉に救われた。

Sが退いて、その価値を知るのは依頼人とともに購入希望者双方なのである、
「あの鐘を鳴らすのはあなた」?

和田アキ子の熱唱が蘇えってきた、
努力は実ってこそ報われる、報われない努力は徒労という名の言葉で捨てられる。
今日の帰り道の風景がやけに沈んで見えた、「黄昏」胸に重く圧し掛かってきた。

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