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雑談

奇跡 生きていた あの日別れた猫よ

高架下の側道はアスファルト舗装がされているとはいえ車一台が
通れば離合できない、ある昼下がり数年前の想い出を辿りなから
車をゆっくりと走らせていた。

その脇に今にも壊れそうに傾いた小屋が建っている、その横に乗り
入れのための出入り口が南へ向かって下がっている、

何か茶色の物が動いた、それも2匹である、手前で車を止めた私は
思わず声が出た、「あっ!」

3年前は毎日通っていた道である、場所柄数匹の野良猫が屯していた、
夕方になると遠慮気味に寄ってくる茶色の猫がいた、顔の不細工な
目の不自由な猫だと分かった、それから私は僅かな量だが餌を与える
ようになった。

ある事情により、そのボランティアを中止せざるを得なくなった、
悲しい断腸の思いの別れだった、後は心優しい別の方が引き継いだが
その後の状況は分からないまま今日に至っていた。

午後、小雨が降っていた、「もしゃ?」車を止めた私の横1mの位置に
その茶色の猫はかがんでいた、視線を私に向けて、「あっ!」間違い
なかった、独特の顔かたちはあの猫だったのである、もう歳を取った !

そのせいか、やはりと言うべきか一回り小さくなった猫は私を見上げていた、
その3mほど下がった畑に同じような色形の猫が居る、大人になっている
とはいえ子供の猫に違いない、生きていた、この環境厳しい中で生きていた。

しばし感動にじ~とする私がいた、その時、何かが動いた小屋の陰で分からな
かったが大人の男性がいた、数m横に個人住宅がある、以前奥さんが「可哀想
なので餌をやっているのですよ」と言われていたことを思い出した。

陰に隠れて見えない所で善意の方々がこうしてか弱き物達に手を差し伸べている、
たまに気になるので通っていたが見かける事はなかった、もう死んだのだろう ?
空しい諦めだっただけに、胸に突き上げる感動に浸っていた。

数分後、車をユ-タンさせたが、もう姿 形は 見えなかった、食事を貰った、
私は嬉しい余韻に浸って公園に向って車をスタ-ト させた、小雨が知らぬ間に
やんでいた。

公園の木々には雨に濡れた枝葉が嬉しい悲鳴を上げて垂れ下がっていた、
自然はこうして日々姿かたちを変えながら冬に向っている、生き物の想いを見詰め
ながら、( 生きていた) 救ってやれなかったニャンと過ごした場所に車を走らせた。

河川敷中洲に数匹の犬の姿が見えた、生き物達の生きるための戦いは尚続いている。

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