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雑談

暮れなずむ高原の町は  人恋しい小京都

暮れなずむ高原の町は行きかう車の列で喧騒を極めていた、
長い打ち合わせの時間が終わって許可申請を無事済ませた。
担当者の顔が爽やかに緩んだ、

「これで揃いましたね、つきましては〇〇頃には許可になると
思われます、しばらくお待ち下さい。」

やれやれ2時間有余の小部屋での相対時間は終了、開放された。

早速、待ちわびていたAさんと隠れ宿斬新な喫茶店で待ち合わせ、
珍しい造りのお店である、店のママとの掛け合いを見るとAさん
よほど懇意と見える、まさか奥さんに内緒で ?

それは不問にして、今後の予定と段取りを話し合う、ママさんが
美味しいコ-ヒ-を運んできた、さすが高原の小京都、その応対が
慎ましやか、痺れるはずだよAさん、納得して雑談に入った。

彼Aさんは、近年急激に事業拡大を計り銀行との融資関係の折衝も
頻繁に行われるようになった、私が一番重点的に助言することは
経理の明瞭、税理事務所との意思疎通を計りキチンと申告すること。

会うたびに助言している、先輩たちの轍を踏まぬように真面目な
納税者であるべきと進言している、これが成功の秘訣、先人の失敗
からの反省である。

真剣な打ち合わせの後は四方山話、「良い奥さんを貰われた!」
お世辞抜きに褒めたところである、本人にとっても悪い気はしない、
「往年の梶芽衣子、今で言えばさしずめ誰かな? 二階堂ふみ かな!」

私の褒め言葉に照れることしきり? 夫婦揃って似たもの同士!
「勝って兜の緒を締めよ!」 夫婦に送る親心、だってね !?

楽しいお茶会だった、彼とママさんの別れに際してのヒソヒソ話し
私には関係ないことなんちゃって! 聞かぬふりもこれ愛情、だよね。

朝夕ともなると高原の町は頬をなぶる風もキツくなる、峰々から吹き
降ろす寒気が懐具合を問うて来る、「今年の暮れ、越せるかい ?」

夕闇が人々の生業を追いたてる、稲刈りの終わった田園風景に在りし日
の先祖が甦る、私の5代前の先祖は、海のない高原の村から峠を越えて
港町の寒村に養子に入った、苦労の始まりだった。

昔の人は何事も辛抱が宝として前向きに人生に挑んだ、負けてなるか!
私の血潮には高原の耐える民の血が色こく残っている。

「男だってね!」「山と海の男だい !」 「生国は?」 「金波銀波の
白波育ち!」 お天道さんが笑ってござる ?
「おいおい! 任侠映画の見過ぎかい?」 車は国道のトンネルに入った。

高原の風と、その冷気に御先祖さんの息使いが聞こえてくる、
「負けるな!・・・ 誘惑などに ?」

御先祖様に想いを運び、何故か? 人恋しい 高原の町 小京都よ !?

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