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雑談

三番町 小雨に煙る 恋の街

小雨の煙る懐かしき北京町、東にのぼって今は三番町、
この街で有数の老舗居酒屋Aは、多数の予約客で賑わって
いた。

溌剌とした若い店員は予約客B社長の名前を告げると、
「B社長さんですね、御2階にお席を準備してございます」
爽やかな笑顔と挨拶を寄越してくれた・・・

階段を登ると小さな各小部屋が見渡せる、ある部屋で
B社長、司法書士C先生の姿が見えた。

私は車の渋滞に遇って5分ほど遅れて到着した、ふたりの
表情が緩んだ、
・・・
昼前には司法書士D先生と現在手続き中の仕事の打ち合わせの
ため、喫茶店で小1時間、

それが終わると別のお客さんの待つ焼肉店へ向う、昼食は4人
での食事会。

散会の後、役所へ必要な戸籍関係の資料を取りに行く、
少しばかり余裕の時間がもてたので、いつもの公園で一休み。

小雨の中を、渋滞の車列にイライラさせられながら夜の食事会に、

楽しい語らいが待っていた・・・
その後、税理士E先生参加、B社長秘書F氏合流、まず生ビ-ル
から始まって大瓶一本が卓上にド-ンと座った。

土佐は高知の土佐鶴、通算40回金賞受賞の「土佐鶴」を冷やで飲む.
つまみはそれぞれの好みが並べられた。

愉快で楽しい飲み会の始まりである・・・
冷酒が効いて来ると、人間の頭は道徳観が些か麻痺して来るようだ ?

言い出しっぺはB社長、C先生の女性放浪記から話は始まった、
これが誠に純情というのか、図々しいと言うのか? 社長の口に乗せ
られると喜劇と悲劇が混合する、それが又面白い、大爆笑 !

初めは控えていたC先生、遂に痺れを切らして逆襲となる、社長他人事
ではないぞな ?

税理士E先生が参戦である、B社長の会社を優良納税企業に育て上げた
勲一等の立役者、お硬いと思っていた税理士先生の面目躍如、別の顔。

その合間に、社長昼夜全てを垣間見る秘書の冗舌が座を盛り上げる、
ほんに、今夜の飲み会は何の会 ? 地獄の閻魔が参戦する ?
「おいおい! わしゃは退屈してたとこじゃ、仲間にいれてくれ !」

賑やかな座を閻魔大王に任せて、少しだけ思い出に浸ってみよう ?

あれは、10年前になるだろうか ?

ひと組の若い男女がいた、彼氏に北海道転勤の社命が下されたのである、
大街道から三番町を小雨の中、傘もささずに歩く無言のふたり、女の
涙は昨夜流し続けて枯れ果てた ! 無言のまま2人は小さなホテルに!

肌寒い小雨は、明日の日を暗示していた、
「3年経ったら必ず帰って来るから」・・・だが男の約束は実らなかった。

北海道札幌支店勤務の彼は、一年後の冬、慣れない雪の夜道得意先回りの
帰り若者の飲酒運転に依って事故にあった、医師の懸命な治療も虚しく
30に手の届く寸前命を散らしたのである。

地元でその知らせを受けた彼女の嘆きは、止まる事はなかった、
ある居酒屋で私に語った男は、話し終えると頬の涙をコブシで拭った。

「Sさん、その男はうちにいた社員、転勤命令にOKを出したのはワシ!
相手の女性は今、うちの会社に来てもらって働いているよ!」

私に語った社長は今宵の主人公、B社長、社員の苦労を知る社長である。

三番町は恋の街 幸せ一杯の陰で哀しみにくれる恋もある、男女の仲は
切なくて愛しい。

宴の後、ひとり小雨を受ける私は、その恋人たちの運命を想っていた。

彼と彼女が別れの間際、悄然と肩を落として歩いた三番町通り、
その風景を見ながら、ふたりはどんな想いで歩いただろうか、運命の
哀れさ 儚さを思うと、その胸のうちが可哀想でならなかった。

石原裕次郎の ♪ 恋の町札幌 の歌詞が浮かんで来た。

ひと夜かぎりの恋の歌
♪ 恋の町札幌 ・ 石原裕次郎
作詞 : 浜口庫之助
作曲 : 浜口庫之助
歌手 : 石原裕次郎

♪ 時計台の 下で逢って
私の恋は はじまりました
だまってあなたに ついてくだけで
私はとても 幸せだった
夢のような 恋のはじめ
忘れはしない 恋の町札幌♪

石原慎太郎、石原裕次郎のル-ツが八幡浜に在る、
東京都豊洲市場問題で注視の的、元東京都知事、

ある動画でそのように指摘されていた、
しかし私は善悪は別としてこの兄弟に思い入れがつよい!
石原兄弟に憧れて、私の青春はこのふたりに行き着く。

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