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雑談

あの日見た清左衛門再び、 雪舞う里に

夕方、仕事が一段落したので馴染みの本屋さんへ出向いた。
小雨だが寒い、だが書店の中は程よい暖房で気持ちが良かった、
その所為でもないが膝もとの高さの棚に釘付けになる本が有った。

「文芸春秋 文春ムック 藤沢周平のこころ 没後二十年完全保存版」
中をさっと読んでレジ-に向った、税込み千円、
盟友 深水さんであれば見事な書評を書き上げるのにと考えていた。

藤沢作品は、出入りの書店及び古本屋で殆どの作品は購入している、
藤沢作品には下級武士や市井の人々が登場する、その庶民の生業が
我が身につまされる。

藤沢作品に初めて接したのは、
「蝉しぐれ」男女の純愛には至って弱い私である、しかし不正には
物凄く反発する私でも有る。

不思議なご縁だ、今日は伊予松山藩の或る建物に出向いた、
知人3人との打ち合わせだった、30年住んでいる城下町なのに
私は始めて踏み入れた場所でもあった。

昔の城詰めの武士たちが襖の陰から出てくるような錯覚を覚えた、
「おぬし、何ものだ ?」 鋭い眼光の武士が、柄に手をかけた !

「Sさん! お茶が出ましたよ」 楚々とした美女が柔和な笑みを
見せて「どうぞ」 と云うたぞなもし ? 城山の梢で小鳥達が歌う、

足元の小さな溝の湧き水にメダカが泳いでいた、山肌に茂る草木
には季節毎に蛍が舞う、風流な幽玄峡、うっそうと茂る木々が武士
社会の規律を連想させた。

その夜である、
書店で手に入れた「藤沢周平のこころ」

「三屋清左衛門残日録」 先代藩主の用人を勤めた清左衛門は家督を
長男又四郎に継がせて隠居の身になった。

三屋清左衛門、小料理屋涌井で一献傾けている、女将のみさがそっと
襖を開けて入ってきた、

外は雪、まだ早い時刻なのに辺り一面雪化粧に変わった、
犬の遠吠えが物悲しい。

あの日に見た清左衛門再び、それは深水殿の後姿に似て奥ゆかしい。

あの日見た清左衛門再び、 雪舞う里に” に2件のコメントがあります

  1. 杉の子さん。こんばんわ。

     ミミズの名前が出ておりますので、黙っていてはなるまいと、そう思いましたが、あなたの描かれるミミズと、現実の私には違いが大き過ぎて、言葉に窮します。
    税込千円の本とは、高価な品です。図書館で廃棄図書をもらって読んでいる身といたしましては、新本の感触すら忘れております。机に向かい、背を丸めて読書しておりますので、奥ゆかしい姿とは縁のない自分です。

    杉の子さんのブログには、摩訶不思議な世界が時々現れますし、コスモスさんが言われますように、あなただけの独特の世界です。私もその世界で描かれますと、清左衛門みたいに変身するのでしょうか。杉の子酒場、杉の子道場、杉の子ファンタジーなどとなど、あなたのブログは、七変化の舞台のようです。これからも楽しませてください。

  2. onecat01さん、

    三屋殿 清左衛門殿、私が惹かれる藤沢文学、藤沢周平の世界、私は図書館の廃品から始まって
    古本屋の藤沢作品を全部揃えたほどの藤沢作品びいき、蝉しぐれ から門を開きました。

    日本人の矜持が、武士社会のシキタリが、遥か遠い過去に遡って展開いたします、
    onecat01さん、それら藤沢作品に彩られた主人公の武士にあなたの面影が重なります。

    杉の子劇場、杉の子ワ-ルドは、縦横無尽にあの時代の武士たちが蘇えるのです。
    三屋清左衛門が悪を切る、愛国の志を持った士が邪悪を懲らしめる。

    ひと時の夢の世界をご堪能下さい。

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