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雑談

暮れなずむ海 握られた秘密 ?

暮れなずむ海
亡き兄の十三回忌を菩提寺で済ませた私は一路帰途についた、
午後5時を回ったふるさとは太陽が沈む西、大島辺りと三方の
山肌が紫がかった茜色に染まって来た。

目の前に広がる海は静かに薄いブルーに凪いでいた、田舎の
方言で、べた凪ぎと云う !

沖の大島は近いせいでそれでも濃い薄墨の島影を落としている、
竜崎を回ると遠くに霞む陸地は薄い青みがかった姿を仄かに見せ、
沖合はるか数百メートル、6~7せきの小舟が釣り糸を垂れていた。

隣村との境、介護施設の広い庭園に回る石の風車軍は風がない
所為で羽を休めていた、その前の堤防では三人の釣り人が所在
なげに海に視線を這わせていた。

暮れなずむ海、私たちが昔、高校生の頃自転車で雨の日も雪の日
も通った通学路である、

私をお兄さんとしたってくれたKちゃんの村に差し掛かった。
ハタチの若さで帰らぬ人になった薄幸の乙女である、

折り重なるように段上に家が建ち並ぶ、その上にその村の墓地が
静まり返っていた。

「 Kちゃん、お兄さん元気で頑張っているよ! もう随分経ったね」
生きていれば60才台、子育てをやり終えて孫の面倒を見ている歳頃
である ?

人生にもしもがあれば ? 人の出会いと別れ、やめておこう !
そのドラマーは人それぞれである、これが運命と云うものだ儚い !

少し急な坂道を乗り切り更に坂を下るとY市の街並みに入って行く、
5時半、街は行き帰りの車で騒々しい、スーパーの駐車場へ入る、
そこからフェリー乗り場の近くに同級生が経営する喫茶店がある。

街中のカフェーは駐車場不足、断念して海岸線へ向きを変えた ?
連絡をいれた友は、いつものゴルフ、その返事は松山に着いてから
返って来た。

悠々自適のご隠居さん、明るい人柄は私以上の交友関係で彩られて
いる、男は、妻の良し悪しで人生が決まる、

互角平等の竹馬の友、だが一つだけ奴に頭の上がらない秘密がある、
まだ、若かりし頃、痔を痛めた私は市立病院の泌尿器科を受診した、

「Sさん、仰向けに寝て・・・」 先生の抑揚のない声がして看護婦
さんが先生と一緒に患部を覗き込む、その看護婦さんこそ若き日の
彼の妻だった。

男命の純情! あんちくしょうの嫁にオレの秘密を握られた、くそ !
と笑えぬ茶番 ?
道理で、それ以来、奴の顔が心なしか得意げになった、やられた ?

男の友情、こまかい事にこだわるな、 俺とお前の仲じゃないか ?
どんなにベッピンさんでも歳を取ればシワが増えるぞ !

まあ! そんなものか ? だから ! いいって事さ !?

暮れなずむ海 握られた秘密 ?” に4件のコメントがあります

  1. 杉の子さん。

     なんとまあ、このような結末だったのですね。山肌が紫がかった茜色に染まる、暮れなずむ海と、叙情豊かな書き出しなのに、病院での痔の話。しかも、看護婦さんは、親しい友の妻となった。

     笑わせてもらいました。でも、やっぱり若いと書けませんね。こんな面白い話は・・・・。

  2. onecat01さん、
    コスモスさん、
    言いたい事を言って、腹の立つ事を吐き出す、杉の子酒場もそうですが、杉の子道場もそんな場で有りたいですね、
    あなた方のコメントにどれほど私は勇気付けられているかしれません、
    パソコンを打つ勇気はないけど、三人の漫才を覗き見てホッと安堵する、そんな人が居るような気がしています。

    負けるなよ! けして投げるなよ? 私はブログの向こう、コメントに泣き笑いする人に呼びかけています、
    あなたの笑顔は素敵です、最高ですよ! 友達で居てくれて有難う、いつも忘れず幸せを願っているからね、 と。

    気が向いたら匿名で良いから参加してよ、悩みは話せる友が居て軽くなる、この三人の幼友達は心で結ばれた心友です。
    これから行くところは修羅場? Sの心意気が試される場、また、ゆっくりご返事差し上げます。

  3. 杉の子さん。
    onecat01さん。

    こんばんわ。
    ちょっと間を置くと、杉の子さんの更新記事が幾つかあって、バイタリティの塊のような
    お人だな~と感心しております。
    特にブログを止めますとお二人の勤勉さに圧倒されて、コスモスは足を引っ張るだけではな
    いのかと思うことばかり・・・でもこうして、杉の子さんのブログでお喋りに花を咲かせますと
    思ったのもつかの間、何時ものめでたいコスモスに変化するから不思議です。

    この記事、読ませて頂いて、コスモスも笑ってしまったのですが、さすがにコメントは・・・。
    男同志はこのような時には本当に羨ましいです。
    いいから!いいから!モズクの摘みで、一杯如何ですか?・・・が関の山ですね!

    onecat01さんのブログも拝見させて頂いております。
    丁度、ある人から「優れた書評とは、どのような書評ですか?」と尋ねられたばかりでした。
    すかさず、「簡単なことだと思うよ。書いた人の書評を読んで、私も直ぐに何らかの形でその本を
    手元に引き寄せたくなること。」と話したばかりです。
    昔、山本周五郎に熱中しておりましたが、今度は藤沢周平ですね。眼鏡を即急に購入しなければ。
    お二人に感謝です。

    イジメの問題・・・書き出すと止まりません。
    現在大人のコスモスもイジメに逢っておりまする。イヤイヤ、反対にコスモスからイジメを受けていると
    応えられるかもしれませんが。コスモスは大人ですが、子供のイジメは即対応が必要ですよね。
    長くなりますので、このあたりでストップ致しましょう。

    PC使用の時間制限をしましたら、胸や背中の痛みが無くなりつつあります。ブログの方も
    過日、2枚の写真をアップロードして、それを最後に写真のアップロードが終了しました。
    暫くしましたら、新しく立ち上げる元気が出るのかな?とも思うのですが、現実に出来沸く事柄に気を
    とられています。
    でも、こうして、幼馴染と言って下さるお二人と会話が出来ますことを、心から感謝申し上げます。

    また、伺わせて頂きますね。 お休みなさいませ。

  4. コスモスさん、
    いじめの問題は余り深く考えないでください、行政はじめ当事者が解決策を模索するでしょうから。

    藤沢周平さんの著作に引き込まれ、江戸時代の男女の切なさに身を乗り出す、
    青年時代の私は、山手 樹一郎、源氏鶏太に憧れ濫読したものですがその後、歳とともに山本周五郎に
    傾注いたしました、説教を聞きたくてね。

    コスモスさん、どうか気長に焦らず人生を楽しんで下さい、良いことありますよ !?
    私とonecat01さんが付いているじゃぁありませんか。

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