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雑談

ごめんよ  気がつかなくて  特等席取ってあげるから

世の中は、人々の喜怒哀楽を乗せて人生と言う道程をひた走る。
あることに胸を痛めて助けを求める人が居る、その人にとって世界情勢は
その危機感は目に入らない、只自分に起きている一大事だけが胸を占める。

有識者の助言を伝えてあげるその時が安息の時間のようで、電話口に吐息
が伝わってきた、悪い時は何時までも続かない、朝陽の射す朝は必ず来る。

午後、知人を見舞に行く、白血病で危篤に陥っていたが薬石効あったのか
白血球の値が1/10に下がった、主治医も驚くほどの様態の変化である。

危機に身を凍らせる人が居るかと思うと、小さな幸せに手を合わす人がいる、
遠い先の事は知らない、危ない目には合いたくない、だから目を閉ざすと言う、

「大きな災難を逃れないと身の回りが良かってもダメなんじゃないの ?」
私の問いかけに・・・
「良いのです!今まで苦労したからこのほんの僅かな時間の幸せでも良いの
です、今が愛しい!」そこまで言われると私は返す言葉が有りませんでした。

昔、その地方の名士を父に持つお嬢さんから相談を受けたことがある、
生まれてこの方苦労したことのないお金持ち、乳母日傘で育って庶民の哀歓を
知らずに育った女性だった。

大学を卒業して帰郷した彼女は、先輩の彼女と仲良しグル-プの内の一人だった、
私は、湖に小石が投げられた際に円を描く波紋の話をした、輪になって広がった
波紋は元の湖面に戻る、しかし、その原因となった小石は湖の底に沈んでいる。

それを彼女の悩みにあわせて伝えたのである、後日談があるのだが、結局彼女は
ある資産家の男性と結婚して、私達の手の届かない世界へ去って行った。

大学出たばかりだから22歳の乙女だった、私が始めてみる深層の令嬢、純粋な
性格に驚いた記憶が残っている。清純無垢という表現が似合う女性だった。

ふと、思う! あの手の届かない雲の上の人々に、庶民の苦労等あるのだろうか、
昨今、中央でニュ-スを賑わせる高級官僚や政治家の醜聞を見るに付け、社会の
矛盾を感じて為らない。

しかし私は羨ましいとも憎らしいとも思わない、日本の自然に四季があるように、
人間の一生にも喜怒哀楽と云う四季がある、早いか遅いかの違いで回ってくる、
私は、そのように人生を眺めている。

宿題 !
遅まきながら、私は今、胸を締め付けられる感慨に陥っている、忘れていた宿題 ?

男として成し遂げなければならない義務と責任が取り残されていた、遠い追憶を
思い起こし、辛抱強かった家族に償いを為さなければならない、ある人に頼まれて
役所に書類を出した。

その内容を見て愕然とした、余りに家庭を犠牲にしていたことに気がついたのである、
孤独に苛まれる寂しい人の嘆きを見た、( 身近な者を幸せに出来なくて何が男 ?)

私の戦いが始まったのである、幸せ行きのキップをプレゼントするために、

「ごめんよ  気がつかなくって  人生の特等席を取ってあげるから !?」

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