お盆
ニャンよ !
ニャンの帰るお家は何処だろうね ?
人間の世界では、お盆には、死んだ人が
我が家に帰って来ると言う言い伝えがある、
猫だって家族の一員だ、
犬猫入り乱れて人間と一緒に帰って来る。
そこには、種別の違いなど有るものか ?
家は、二つ上の兄が帰って来る、
ニャンも迷子にならずに、手をつないで
帰っておいで、
犬のスコッチとマキちゃんも一緒だよ、
ところで、今日 ニャンが住んでたあの場所に
行って見たよ、会話した二か所の処だよ・・・
随分変わっていてね、洋猫から逃げて駆け上がった
あの大きな樹は、伐採されてなかったよ、
錆びた門扉はそのままだったが、周辺の樹は
きれいに刈り取られていた。
ニャンと最後に会ったあの日のことが
忘れられない。
その夜か又は翌る日、ニャンは、
怖い洋猫か、大型の野良犬に襲われたんだと
想像している。
助けてやれなくてごめんよ。
翌る日、いつものように餌をおいた お父さんに
ニャン 助けを求めたのかい、
息絶え絶えの下で、何を思ったか ?
涙が止まらない !
・・・・・
ニャン! 辛いね !
助けてやれなくてごめんよ !
今でも、ニャンの居そうな場所を通ると
声を出して話しかける・・・
ニャン! お盆が来たよ・・・
お父さんのお家に帰っておいで、
連れて帰りたかった・・・野良猫ニャン!
あの道は、あのふたりを隔てたフェンスはそのまま
残っている、
ニャンが隠れていた古い倉庫もそのまま在るよ、
お父さんの車の音を聞き分けて、
行ってしまわないでと慌てて出てきたニャン !
必死だったね !
洋猫に襲われて赤むげになった痛々しい耳・・・
軽い身体をお父さんに摺り寄せて甘えたニャン、
何もかもがいじらしかった。
ニャン、お父さんはニャンのこと決して忘れない !?
迷わず、帰っておいで・・・
迎え火焚いておくからね。