昨年のお墓参りの時もそうだったが、
今年のお盆明けのお墓参りも不思議な現象だった。
朝から小雨が降っている、どうしょうかと迷った末に
やはり行くことに決めた、
峠は少し雨脚が強い、雨の中のお参りかと車の流れに
合わせて走る、
下り坂、前方の下界が明るく開けて来た、
青空が見える、昨年のお墓参りの事が頭に浮かぶ、
コンビニ横の空き地に車は滑り込んだ、
ひと組の若夫婦が墓に手向ける線香や草花を持って
歩いていた、
軽く会釈を交わす、この夫婦にも家族があり歴史が
あるはずだ、良き人生である事を願う。
目当てのお墓に着いた、
家族が手向けた草花と賑やかなお供え物が並んでいた。
残された家族の先祖を想い尊ぶ真心が現れている。
このお墓は、私と縁戚関係にはない、
ある事が縁で人情をいただいたご夫婦だったのである。
苦しい時に頂いた優しいお言葉が私の脳裏から消えない、
自分を戒める為、感謝の気持ちを表す為に、お訪ねする。
先程まで降っていた雨で、そう広くはない墓地は静かに
しっとりと佇んでいた。
あたり一面、太陽の光が差し込んで来た、
線香の煙を追って空を見上げた、眩しい陽が輝いている、
ご夫婦の慈しみの念が私の心に染み込んで来るようだ。
あれからどれぐらいの月日を数えただろう、
生きる事は、生かされる事は・・・
貴重な教えを受けるようである、
墓地から大通りに出る、日常の延長、せわしげな車が
行き交っていた。