雑談

絆  母と子

暑い日差しを避けて公園の一隅にわずかに陰をのぞかせる
樹木の下に、私は車を止めた。

車が数台日差しの元、エアコンを唸らせて涼を取っている、
私は、よほどの事がない限りエアコンはかけない ?

省エネというよりも生まれついてのケチ、そう貧乏性なので
ある、

公園から少し行った所に、広い敷地の中に綺麗に整理整頓
された豪奢な家が静まり返っている。

ご主人に先立たれ独立した子供達は都会に出て1人暮らしの
80歳を越えた奥さんは現在施設に入って住む人はいない。

心の綺麗な優しいお人で、溯る事数年前の思い出を振り返る、

ある会社の経営者から事業に関して相談を受けた、その相手
先の持ち主が旧知の奥さんだったことでお訪ねしたのである。

それは猛暑が来る前の、穏やかな青空を見せる春の陽射しが
爽やかな風を伴って頬にそよぐ日曜日、施設は物音一つなく
午後のひと時を迎えていた。

その人は、二階の個室でもの思いに沈んでいた、約10年ぶり
での再会だった、

「コンニチは、お久しぶりです Sですが分かりますか ?」
施設の職員同伴だった。

一呼吸おいて「分かります!」 老婆から笑顔がのぞいた !
初めは硬い表情を見せられたものの記憶が蘇る程に饒舌に
なられた。

短な時間だったがそのお人の人柄が出る場面がここである、

何かの折に息子さんの家族と団欒を持つ機会が訪れた、
息子さんのお嫁さん、そして孫娘が、お婆ちゃに話しかける
会話が胸に来る・・・

「お母さん、パパの奥さんにしてもらってありがとう !」
「パパを立派な機長にして貰って有り難う !」

孫娘も・・・
「おばあちゃん・・・!」 と続いた、

息子の妻も、
元、客室乗務員(CA、キャビンアテンダント)だった。

おばあちゃんは芯から嬉しそうに言葉を紡いだ・・・
嫁姑の何と素晴らしい関係ではないだろうか、

心から嬉しかったのだろう、奥さんの目に光るものがあった、
以前、苦労話をお聞きしていただけに、この幸せがづっと
続く事を願う !

息子の成長を願い努力の末掴んだジャンボジェット機の国際線
機長としての息子を誇りに思う親心、もうこの辺で言葉を置く、

私の家から8分、緑に囲まれた閑静な一隅に、国際線の機長を
している息子の操縦するジャンボ機の機影を追うように、その
人は、目を細めるように青空に目をやった。

親は、子供の人格に、その真心をつなぐ、 母と子 !
「親孝行をしたい時に親はなし」 私の切ない胸の内の吐露 ?

公園の樹木の影が東に尾を引く午後、

私は、ふっと我に返った !?

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