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日常生活

出会いと別れ

その葬儀告別式は大勢の人が参列しており、駐車場も
満杯のため少し離れた第二駐車場へ回ってくださいと
整理員に言われて、そこへ止めた。

従兄弟Aの妻の告別式である、
同級生達は既に並んで座っており、斜め少し前の席に
腰を下ろした。

左横に別の従兄弟Bと従兄弟の弟Cの長男Dが並んで
座っていた、十数年ぶりの再会である。

式が始まるまでのほんの僅かの間に雑談を交わした、
ところが予想もしなかった人間模様が判明した、

従兄弟Bの分家筋の従弟に土地家屋調査士兼業の行政
書士Eがいることが分かった、名前を聞いて驚いた、
格別話す機会はないもののよく存じている先生だった。

人の縁の不思議なところ・・・
と言うことは、Bをはさんで私とEは親戚だったのである、
早速、電話を入れた、E先生驚きである、

近いうちのお茶会を約束した、
こうなりゃ、お堅い呼び名でなく、気楽な愛称をつけ
なくてはならないね、

それにしても不思議なことが有るものだ、
特徴の有るEだったので、鮮明に覚えていたのである。

そう長くない人生だと思うが、
1年1年、新しい出会いが有る、昨日まで全く知らない
人が、旧知の友のように親しくなる、ありがたい。

もうひとつ、告別式で面白い場面があった・・・
喪主の従兄弟の長男がある団体に勤めている、
何とその上司Fは私と最も親しい上役さん ?

つい先日も電話で話したばかりだが、もう数年会って
いなかった、その場面が面白い ?

告別式が終わって参列者が退席する、
私はFに声をかけた・・・
「F君!」 Fに間違いないと思いながら声をかけたの
だが、そのお頭はだいぶ薄い ?

あの紅顔の美青年が、 人違いかと思いながら声をかけた
わけだが、一抹の不安があった ?

彼の口から思いがけない言葉が返ってきた・・・
「どちら様ですか?」 あれっ! やはり人違いか ?

「SのSですよ?」 私が答えると彼の表情が緩んだ!
「判らなかった?」 ( どうしたF君 ? )

彼は小さな声でつぶやいた・・・
「歳 取ったな ?」 

「苦労が多いからよ!」 と 私、

喪主との関係を伝えての立ち話、
お互い歳を取ってしまった、痩せた年寄りといささか頭の
薄い初老の人、

しかし、声だけは変わらない、
明るい性格の人には、福の神が寄ってくる、
( ああそうだ、思い出した )

ずっと前に、スナックで一緒したことがあったが、
あの時一緒のご婦人は ? てっきり奥方と思っていたが
別れ際、妻でないことが判明した。

(F君! あの時のご婦人は、福の神だったかい、それとも
疫病神だったかい ?)

聞きたい気持ちをぐっと堪えた、
終わったとはいえ、ここは葬儀告別式の会場、福の神も遠慮
しているに違いない、

故人のご冥福を祈って式場を後にした、
陽射しが頭上に降り注いで来た、人の別れは辛い。

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