胸かきむしられる別れ
暮れなずむ里よ !
茜さす海の彼方よ !
穏やかな晩秋の村に火が灯る。
当に稲刈りも終わり、
雀たちもいづこに去った、
あれ程激しく走った豪雨の濁流が
今は跡形もなく、その地肌を白く見せている。
人間たちが抗せない自然の掟、
身震いする季節が通り過ぎて欲しいと願う。
次第に色彩を緩める山肌が、
濃紺の肌合いから
段々と強弱を付けて 色褪せてくる。
バァイオリンの音色が忍び泣きから
大きく打ち寄せるドラムの怒涛に代わった !
ズンズン! 留まるな ?
歩みを止めるな、 歩き続けろ !
西の空、茜色の雲を突き破って
トランペットが高らかに鳴り響く、
ニニ・ロッソが、 胸の内を叩きつけるように、
我に問いかけて来る ?
サヨナラの向こうに、想い出が覗き見する、
別れが朱を指して、その余韻を未練に託した。
涙は、ひとりでに流れるもの ?
慟哭は嗚咽を伴って、夜の闇にきえた !
儚き想いを胸に夜行列車は東へ、
そこには、振り返る過去さえ見出せない !
胸かきむしられる思い その別れ 時は春 !?