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雑談

男達の挽歌  友を訪ねて  忘れ得ぬ日々

資料集めも終盤にかかり、これから膨大な書類作成に入る。
1月も半ばを過ぎ寒気の中の陽だまりが潤いを与えてくれる。

以前から気掛かりだった亡き友の霊前を訪ねる日が近づいて
来た、長い期間病に苦しんだ友であるが、立派にこの世の
役目を果たして旅立った。

剛毅な中に繊細な神経を併せ持った男だったが資産家に生れた
割に晩年は失意の底にいたのではないか、彼の無念を想う。

ある時までは同級生、下級生は言うに及ばず時には上級生まで
が敬遠した学生だった、彼の目に止まると情け容赦のない鉄拳
が飛んだ、私などは辛うじて難を逃れた方である。

彼の側にはいつも同郷のMがいたからである、それで助かった。
「われ~!」 迫力のある声が掛かると皆すくんだ !

しかし、ある事を境に彼の威厳は落ちることになる、
我々の為には歓迎すべきことだったが本人にとってはそれ以降
不如意な学生生活となったのである。

表舞台を降りざるを得なくなった彼の卒業までの記憶は同級生
の中に余り残っていない、淋しい社会への巣立ちだった。

悪いと言ってもたかが学生の事だ、大人の世界から見れば大した
事はない、それでも全校を震いアガらせた気迫は凄かった。

ずっと以前彼が病に倒れて不自由な身体になった事を知った私は
彼の元を訪ねた、まだ若い妻と幼い子供がふたり身の回りにいた。

その直後、或る事をキッカケで疎遠になっていた番長2人組を同行
して彼に引き合わせた、感激の再会だった。

その内のYも奇しくも彼と同じ年月に亡くなった、不思議な因縁で
ある、今回の訪問は、疎遠を詫び、同級生の近況を伝える旅だと
位置付けている。

共に学んだヒマラヤ杉だ、先般帰郷の折に母校の側を通って見た、
青々く逞しく空に向って伸びていた、敬礼 !

彼、N・Jは、 一時代を築いた番長になり得た男だった !

「S ! われ ~ !」
その声を聞くと震え上がる程の恐怖を覚えた男である。

亡くなれば益荒男も仏様になる、もう一人の番長Y・Y と並んで
私を迎えてくれるだろう。

「山椒は小粒でもピリッと辛かったわい !」
Y が私の事を J に伝えているに違いない、J の元に一緒に訪問
した H・Kは今だ健在である。

校舎の硬い柱を拳骨で殴り捲くった剛毅な男、下級生に恐れられた
H・Kは私と常に連絡を取り合っている。

「Jよ! Yよ! 待っておけよ ! 必ず行くからな !」

男ども! 男たち ! どこまで行っても同級生だぜ  !?

押忍。

あいつ ~男の友情~  秋岡秀治

離れて、亡くなって、ありがたさが分かる 友よ !
もう一度 逢いたい !

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