物言わぬ一市民に国を思う愛国者がいる、
昨夜、50年の長きに渡って貴様と俺の関係を紡いできた
友人と、奥様、子息を交えての食事会を催した。
四国松山で名の通ったホテル、街中の喧騒をよそに最上階
からの夜景は心地よかった、シノ降る雨が荘厳の趣さえ
感じさせて余韻を残した。
お互い20からの付き合い、紆余曲折、多事多難、よくぞ
乗り越えて来たものだ、万感胸迫る想いがある !
強烈な突きが胸に刺さる、腹わたがよじれる程の衝撃が来る、
レバーに相手の回し蹴りが入った、
「うっ!」 息が詰まって後の言葉が出ない、「ごほっ!」
胃液が逆流する!
高校時代の長距離ランナーの脚力は他に比すべき者はいない。
良き時代を共有した、今、身体の不自由になった友は子息の
フォローで車椅子に腰を下ろしている。
横で「喜びも悲しみも幾年月」
支え合って来た妻が焼酎のソーダー割りをご相伴している。
もっぱら若い頃の回顧談に窓に吹き付ける雨が相槌を打った、
手入れの行き届いた室内の調度品、礼儀作法を弁えた係員に
物語のアンサンブルは震えた !
横の子息は、この数日後、緊張の席に着く ?
二代へ引き継ぐ厳粛な儀式が、そこに来ている、私の出しゃ
ばり司会で。
その打ち合わせを兼ねて、友遠方より来る又楽しからずや !
男ふたりの突きと蹴りが ! 今度は、愛の問答に代わる ?
永遠への誓いの相打ち !
男と女が涙した、雨にまつわるエレジー 哀歌 !
今宵は・・・
ホテルの夜景に、男女の結婚への序曲が聴こえて来る !
「セレナーデ」