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思い出

先生 Y

午後の予定の準備をしていたらY先輩から電話がかかってきた、
この先輩に限って事前に、2~3日前にかかることはない、
それが私と先輩の習いごと、今に始まったことではない。

普通の阿吽の呼吸なのである、
「Sくん今何処其処に来ている、相談が有るけど会ってくれるか?」
勿論依存の有るはずがない、「OKですよ先輩」

「ところで何時になるの ?」 と尋ねる私に「3時かな ?」
予定を済ませて待った事はいうまでもない。

若者たちで賑わう場所で落ち合った、楽しい漫才の始まりである。

この先輩は、見た目には何処の誰 ?
もしや、悪い人ではありませんか ? 見かけで判断するとそうなる、

ところが、この先輩は知る人ぞ知るある分野の専門家、
大学教授よりも後、すなわちとりで講師を務める偉い人、
講義を聴きながら居眠りしていた観客が先輩の番になるとパッと
目が開くから不思議である。

今でこそ好々爺だが若い頃は柔道の猛者、街にたむろする元気者達が
三願の礼で、飲み屋に料理屋に接待してくれたほどの腕自慢、

表に出ない選挙の采配師、選挙参謀、町から県から国の代議士まで
幾多の議員を押し上げた陰の人、後輩Sが一番判っております。

今日は、個人的な家庭内のこと、また金額のかさむ買い物の話、
我々貧乏人には窺い知れぬ雲の上に居る人、有るところにはあるものだ。

そのお使いをお受けした、
場合によれば県外出張、たまの温泉旅行もいいかもね。

先輩との話し合いは、雑談を交え2時間半、外は街灯が灯っていました、
再会を約して健康を願って先輩を見送ったことは言うまでもありません。

10代からのお付き合い、
お互い若い頃は、怒らすと止めに入れない暴れ馬、一刀両断一撃必殺か
裂帛の投げ技か、相手をてこずらせた者同士、良い形で年を取りました。

夕焼けを背に、似合いの車がインタ-を登ってゆきました、
先輩、Y先輩 !  私は、本当に幸せです。

あらためて敬意をこめて捧げます、

「 先生 Y 貴方は私の誇りです。」

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