サムライ死す
尊敬するサムライが黄泉の国へ旅立った、さよならをする為に病いをおして京都に立った、
妹・弟の押す車椅子は同級生の感動を呼んだ。良い奴が又、私達の元からあの世に向かった !
その悲報は皮肉なことに晴天の下もたらされた。スポーツ万能、女学生の羨望を浴びたサムライ魂、
京都の旅は友への感謝と別れを告げる悲しみの旅、帽子を深々とかぶった友の目に涙が滲んでいた。
舞妓さんと並んだ記念写真、妹弟の家に宿をとった友は、心から喜び安堵の息をついたと言う。
私は病いをおして同級会に参加した友の労に答えるため、後日彼の見舞いに故郷へ帰った。
市立病院への診察日にかち合って彼と会う事は出来なかったが糟糠の妻から覚悟の一端を聞かされた。
サムライと言うべき覚悟と佇まい、私の心は震えた。
良き友を得て、その別れ !ひとりの孤高の武士が想いを胸に抱いて父母の眠る天国へと旅立った、やり遂げた男の腹の内、慟哭を抑えるには早過ぎる、ゆっくり彼の為に、涙を流したいと思う。
囲んだ友の輪、常に控えた男は、真の武士( もののふ )
私は、彼の正眼の構えをそのように評価している。
本物の勇ある者は、無言の内に友への諭しにかえる。
又、大切な友が私の元から去った !
今宵、家人に分からないように涙が畳に沁みるだろう!
辛い別れだ ! 友よ、かけがえのない友よ !
冥福を祈りたい、 胸がこみ上げる !?