あれ程気の小さかった男が変われば変わるものである。
友達が喧嘩をしているだけで胸がどきどきして竦んで しまう、弱虫、泣き虫小僧がそこにいた。
ところが二十歳を境に気性が一変した、何で~ ?
揉め事の現場に行き当たる、男達の立ち回り、手には ビ-ル瓶か包丁が握られている、怒声が辺りを圧する。
ウ~! パトカ-が唸る、刑事が飛び降りる、そう喧嘩の 幕開きである。
私は、そこに立つのが好きになった、胸がわくわく踊る のである、というよりも血わき肉踊る面白さ !
野次馬根性の芽生えだった、祭りと喧嘩そのものだった。
警察のパトカ-が来て刑事が気色ばんでいる、男達の立ち 回り、その現場の臨場感がたまらなかった。
時には、馴染みの刑事に声を掛けた、彼らは必死に男達を 諭している、 「わしが倒すけん、警察に連れて帰る ?」
刑事は呆れて拒絶した「やめてよ!わしらが止めるわ ?」 良く知った馴染みだから交わせた漫才だったが、それほど 喧嘩の現場が肌に合ったということである。
空手の習い始めが面白い、私もそうだったが、それまで おとなしかった男達が、芦原空手を習い始めると粋がって 挑発的になった、腕試しに喧嘩をしたい風情をかもしだした。
可笑しなものである、冷静な一般人から見るとなんとも 滑稽だった、芦原会館、正道会館に昇華する青年達の初期 は押し並べてこれだった、今では静の人になっているが。
若い頃は、初めは遠慮して躊躇するが、一旦踏み込むと 怖さ知らずの野獣になる、ズンと踏み込むのである、刃さえ 関係なかった、無鉄砲でしたね。
怖さ知らずは、恥知らず、後の祭りはこうして起きていた、 だから男達の祭りは運不運で勝敗が別れた、大怪我をして 入院するもの、最悪は刺されて死んだ者も居た。
出来ることなら争いは避けよう、命のやり取りなどするな! 親が泣くだけでなく、可愛いあの娘が悲嘆にくれる。
野暮な喧嘩はするな、命を大切にせいよ、その分国に尽くせ。
皮肉な話だが歳を取るとそのようになる、平和が良い普通が いい ! 若い時の乱暴狼藉は、思い出の中にしまっておけばよい。
先日も伝統空手のW先生と久しぶりに腹を抱えた、野暮は 漫才の中で光らせればよい、その空間に名人達人達が舞った。
私と従兄弟は、その町ナンバ-ワンのバ-に入った、薄暗い 店内で悪いことに3~4人の元気者達と目が合った・・・ 「ガンを付けたな!」 お決まりの啖呵を浴びせられた !
さて! どうしょう ? 従兄弟の顔から血の気が引いた、「・・・ 無言 ?」
私の言葉と行動が、その難局を切り抜ける、その後のおまけ 男の友情が花開く 「あんた(お前)は変わっている !」 男達は 呆れた !?