友、九州に 死す、
波瀾万丈な人生を送った男だった、高校入学時は私とほぼ同じ背丈だったが、見る間に身長が伸びて見上げるほどの男になった。
気は強いのだが、生来のやんちゃ達の風下にいた、その鬱憤が高校を卒業してから頭角を表す原動力になった。
抑えていた男気が地元の後輩から飲み屋での飲み友達迄網羅して、町の飲み屋街の女傑達に可愛がられるようになる。
高倉健と同じにKちゃんと呼ばれるようになるに日数はかからなかった、女給たちがその金離れの良さに寄って来る、そして浮名を流すにも時間はかからなかった。
暑い夏は、アロハ又は軽いもの寒い冬になるとトレンチコートを羽織った、いなせな出で立ちで町を闊歩した、次第に特定な美人女給がそばに付くようになった。
女関係も多彩を極めた、その方では悔いがないはずで有る、高校時代には隠れていた男らしさが社会へ出て開花した、後輩たちに慕われて、肩を並べてスナックをはしごした。
記憶が間違いなかったら、空手界の貴公子、円心会館二宮城光館長の兄もこの友 Kこと健兄の紹介ではなかったか、そのように振り返っている。
冬の木枯らしが、そんなKに試練を運んで来た、誘惑を計ったと言うべきだったのかも知れない。
家業を捨てて九州へ向かうので有る、錦をあげたら帰郷の予定だったと思うが、現実はそうはならなかった。
物静かな糟糠之妻は黙って旦那について行く、その胸中は いかばかりだっただろうか ?
躾の行き届いた旧家の娘、常に旦那を引き立てる女房だった、その後彼は、脳梗塞に倒れ闘病生活を余儀なくされた、会いに行くから待ってくれよ、それが年賀の常套句になった。
豊後水道は遠かった !
「Kよ!許してくれよ !」叶わなかった約束、男の不義理 !償いの日が迫って来た、生家のあるY市近郊の山肌に彼は両親のひざにもたれて眠っている。
「Sよ! やはりここが落ち着くわ、少し眠るわな !」
好漢、「貴様と俺」 K兄 !
波瀾万丈の幕は降りた。
田舎で言う新盆、故郷の仲良し4人組、当の本人が欠けたが、残りの3人で彼の終の寝床に向かう。
「K兄! よく頑張った、後は女房、2人の娘と孫たちを男の責任で守ってくれよ !」
金山出石寺が、雲海を従えて、彼の帰郷を喜んでいる !?