真言宗別格本山 金山出石寺の山裾に友の眠る墓地はある、静かな佇まいを見せる川の対岸にその墓地は在った。
農協支所で2人と待ち合わせして、数組の家族がお参りしている中を目当てのKの墓地を探した、 案内役の地元の友が聞き間違った為左側を探すも見当たらない、何のことはない右側の目立つ場所に立派な石碑を見つけた。
休憩所でUが暑い陽射しの中待ちくたびれていた、
4人は、九州別府で生涯を終えたKに言葉を添えた、「よく頑張った、ご苦労さん !」
昼の陽射しはきついがそれでも木陰から吹き付ける冷風に救われる、「お墓に仏さんは居ないよ、お盆は我が家に帰っているから!」
Uの口元から労りの言葉が漏れた、( あゝ!そうだったね?)お盆には黄泉の国へ旅立った人々が我が家に帰ってくるといい伝えがある、Kも可愛い孫達に会いに別府の家に帰っているだろう !
知らぬ間に他の人々の姿は消えていた、降り注ぐ日差しが更に強くなって来た、養生中のUを帰らせて3人は昼食を求めて町へ向かった。
どこの店もお盆の帰省客で満杯、順番待ち、馴染みの喫茶店へ入った、先般行われた同級会の写真とSの妹の写真に見入った。
その後、Nと別れてSの妹のお墓へ行く、真新しい墓地は生家のすぐ横に在った、彼女が19歳の時、仲良しの幼友達と私の元へ訪ねてくれた、従兄弟と4人で写る写真が初々しい。
彼女は小さな漁港の男と結婚した、2人の男子を生んだが成人した長男が病で亡くなった事で生活は激変した、私の店へ来店した時が辛い耐え難い時期だった事を後になって知った。
「力になれずにごめんよ! Kちゃん!遅くなってゴメンね !」
お墓に被さるようにせり出した落葉樹の小枝が、思いが通じたのか微かに揺れた。
無邪気な心の綺麗な女性だった、
女の一生は男次第で浮き沈みする、主人の性格を知る私は彼女が不憫でならない、その旦那は彼女より前に亡くなっていた。
実家の横で優しい兄貴の眼差しの元、彼女は先に天国に向かった長男と安らかに眠っている。
人は、一人ひとり人生がある、まじ会う人もあれば、永遠にスレ違う人もある、我が家の四畳半で無辜の笑顔を見せた乙女は、私にとっての宝石である、出逢ってくれてありがとう !
金山出石寺を囲むように白い雲がたなびいていた !?