今年のお盆は台風10号を連れてやってきた、 一仕事終えてくつろいでいたらご婦人から電話が かかって来た。
落ち着いた抑揚の柔らかな言葉の友の奥さんだった、 昨日、同級生4人で墓参りしたばかりのK・Tの 糟糠の妻、手を携えて人生の荒波を乗り越えた女性 である。
「主人はSさんに逢いたかった!今年に入ると、もう 来てくれないのか なァ!と言っていました!」
「それまでは来てくれるかなあと待っていました!」 その言葉を聞くと私はたまらなかった、言葉が震えた。
「Kよ! K兄 !」
そう言えば随分前になるが、 後輩Mの死亡を聞いたのが1年のち、一つ下の同郷の 後輩だった、焼香にお訪ねした私に彼の妻が発した 言葉。
「パパは、Sさんに逢いたかったと思います !」 彼の妻のその言葉を聞いて仏前に座る私は涙が止ま らなかった、 「Mよ!許してくれよ! 堪えてくれよ ! 涙がとめどもなく流れた。
こんな私のような男でも、死の間際、逢いたいと 言ってくれる男達がいる、こんな嬉しくも辛い事は ない。
彼らの必死の想いを叶えてやれなかったからである、 「許してくれ !」
たくさんの後輩に慕われた、自慢の友、健兄 ! K・Tが九州は大分県、別府で窓から見える故郷を 偲んで逢いたいと呟いてくれた。 切なくも辛い!
陽射しのキツイ正午を少し廻っていた、 地元の3人と彼の墓前で手を合わせたばかりだった、
「健兄 ! S !」 そうお互い呼び合った !
「パパは、Sさんに逢いたかったと思います !」
「主人は、Sさんに逢いたかったと思います !」
逢いに行ってやれなかった自分に腹が立つ ! 死に際に逢いたいと言ってくれる・・・切ない !
男って何んなんだ。 今宵聴く「♪ 男の友情 ほど胸迫るものはない、切ない !」
御大 船村 徹の歌声が尚更私の心を震わせる !?
男の友情
作詞:高野公男
作曲:船村徹
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