役目が終わって自分の時間を取り戻し、さあこれからは
と思っていたがなんのその、かえって役職についていた
頃よりも忙しくなってきた。
人間って悩みが多いんですね・・・
「Sさん、力になってよ ? 相談に乗ってよ ?
時間なぁ~い ? なんと相談事が多いことか ?」
仲間内でもこの調子、他の分野の付き合いを含めると
私は、四六時中悩みの渦に巻き込まれている。
よく身が持ちますねと感心されるやら呆られるやら?
人が思うほど熱中するわけではなく、案外人のことだと
冷静に眺める自分が居る。
だから、神経が磨り減らないのであろう ?
そのように割り切らないと自分の身体と神経が持たない。
人はそんな私を無神経、図太い男とのたまう。
「ていへんだ、ていへんだ!」 (大変だ 大変だ)
銭形平次の子分八五郎が息せき切って飛び込んできた、
「何だ八、片方の草履が脱げてるぞ ?」
酉の刻 夕暮れ時が忙しい 夜風が身にしみる、
ゴ-ン、暮6つの鐘がなる・・・
さしずめ、江戸の町の風情である、
目明し平治いやさS親分 次々事件が飛び込んでくる。
「八、そんなに慌てるんじゃねぇ 要領よく言ってみな」
平治の催促に八、目を宙に浮かせて首ひねる ?
「ほう! 米買う銭がねぇんで盗人かい ?」
「何! ぐうたら亭主に愛想付かして夜逃げかい、で相手
は どこのどいつだい ?」
なんともまあ、ご苦労なこった・・・
今日も、ある大先輩から電話を頂戴した、
「わしの手に負えない、力になってよ ?」
ある組織の揉め事、トップ同士のいがみ合い、
既に引退していた元社長が乗り出したという次第、
胃を全摘出の身である、難儀なこと・・・
仔細を聞いて後日お訪ねを約束してお引取り願った。
世の中は、
国と国とのいがみ合い、面子の張り合い、落とし前の
付け合い、で・・・どうした ?
(お前さん、それぐらいで 死なゃしねぇよ ?
たいしたこと等有りゃしねぇ、任せなって・・・)
午後6時のサイレンが鳴り響いた。
本日も多忙なり、本日も大過なし、至って平和。