オヤジさん
俺は野に咲く月見草、野球界のレジェンド野村克也監督、ボヤキのノムさんが亡くなられた。
長島、王など高校、大学から脚光を浴びてプロの世界へ入って来る選手は多いが、契約金ゼロ テスト生からの入団は後に続く芽の出ない選手にとって希望の星だった人である。
私にとって若い時の野村さんはそのボヤキに反発した時期もあって、嫌味な人だなとの印象が強かった。
私自身の師匠が明るくて豪快な人だっただけに、その距離感の隔たりに反発したと言う事である。
不思議なものでテレビで喋る監督の言葉、態度を見ると言うほど悪い人ではないと感じる事が多くなった、まず女性に弱い、照れ屋な人なのだと感じた事である。
厳しい叱責、嫌味な言葉、日差しを浴びて花ひらく向日葵の派手やかさ、それに対極する人間の悲哀を感じた時に、彼の生い立ちから来るコンプレックス、宿命を理解したのである。
それが監督を見直す契機になった、夫婦でテレビ出演の夫婦漫才にも共感を覚え笑って見ていた、母と子の苦闘を知っただけに、遅咲きの幸せを喜ぶ私がいた。
野村克也、
この人ほど他人から好き嫌い激しく評価された人も珍しい、私のように嫌いから、いいじゃない! 素敵だよ ! に代わった男たちは多い。
ノムさん ! 遅まきながら私もそう呼んでいる、ボヤキは私の趣味ではないが、戦略として受け取るなら、秀でた才能がないと誰もできる事ではない。
壮年から老年に差し掛かる人達に問うて見る、
「あなたを慕う後輩たちはいますか、どれ程の人があなたを思っているでしょうか ? その健康を心配していますか ?」
一歩立ち止まって過去を振り返って見てください、ボヤく前にあなたは他人に対してどう言う人だったでしょうか ?
野村監督を慕う人は多い。「俺は野に咲く月見草」
私は自分の領分を知っています、だから長島、王に惹かれるより、野に有って苦労する人に目が行く、こんな男でも手を差し伸べてくれた人がいたからなのです。
野村克也 様
謹んで御冥福をお祈り申し上げます。
合掌