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友情

涙の別れ  友よ!

相手に夏みかんを投げさせて貫手で貫く剛の者、校舎の階段の太い柱を正拳で思い切り叩いても痛くない、空手習いのポン友   !

「オイオイ!」痛くはないかの問いかけもニヤリと笑うふてぶてしさ、さまざまな男達が3年を一緒に過ごした。

それが私の自慢の学友、見事奥方に飼いならされて、ひな祭りの内裏様で座っている。

ほとんどの男達は女性に弱かった、それもそう3年間女っ気なしで過ごした訳だから、女性の扱いが苦手と来ている、それが家庭にハマるとうまく行く    !

ヤンチャだった番長達が見事に飼いならされた有様を見ると、本当は女房がリードする家庭ほど丸く収まる。

しばらく遠ざかる内に身体を壊してひっそりと旅立つ者がいれば幸いなことにその最後を見届けた友もいる。

あの世への旅立ちほど厳粛なものはない、私は必ず納棺の時、花を本人へ手向ける、そしてそっと語る、涙の別れである。

「ありがとう!  良いところへ行けよ   !」

秘密を共有する友へは、残された者への言葉を添える。

なさぬ仲、縁を結ぶことのできなかった人への内緒話、男達は、寝化粧をしてもらって静かに天に召された。

人間は生まれる時も死ぬ時も、余程のことがない限り一人で旅立つ、事故死でない限りひとりぽっち   ?

私の癌宣告は、ひとり死に行く侘しさへの煩悶だった !家族との別れ、縁ある人々との永遠の別れ   !寂寥とした淵に立つ思いだった。

だからこそ人の病床がよく分かる、その心がよく見える、言うべき言葉を反問する、静かに相手の目と表情を読み取る。

旅立ちの歌が脳裏に浮かぶことはない、そして人と違うのは死人の枕元から天井辺りに視線を移す、そして語りかける、「後のことは心配するな、家族の相談に乗るからな   !」こうして、出来るだけ死者が安心して行けるように伝える。

一期一会、大切な出会いだった、感謝の言葉を捧げる。

また会える時も貴様の友でありたい、いい所へ行けよ          !?

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