浜の真砂は尽きるとも 両方痛み分け
若い頃、腕力に任せて意気がった男がいた、
傍若無人も度が過ぎて、しまいにはピストルで撃たれる羽目に なる。
相手は彼のアパートへ正面から堂々と入って来て、照準を定めて発射した、命は取り止めたが、心臓が縮み上がった。
しばらく入院治療が必要で襲撃犯は所轄警察署の刑事に引き立てられた。
因縁 ?
撃った方は若い頃、撃たれた方に子供扱いされて自尊心を傷つけられた、若さゆえの甘さでフォローを怠ったツケが怨念として残っていたのである。
ヤッタヤラレタは、元気者達の常 !しかし、やった方が機嫌よくフォローしておけば執念は残らない、ヤラレタ側の自尊心は敵意にまでは行かなかった !
まあ!そう言っても、ヤンチャな時にフォローを心掛ける者はいない、男の世界も難儀なものである。
だから言うのではないが、良い時はいつまでも続かない、その逆もある得る世の中である、昔の元気者が金ができて悠々自適だと思っていたが案に相違して夜の外出もままならないと言う。
若い頃、素人衆を痛め、チンピラをコケにしたツケが旦那氏になった事で逆転する、金をせびられるようになり、自分の腕力で解決できない老体は如何ともし難い !
夜の外出もできなくなる、世の中、無鉄砲は捨てる程いる、故に無茶な若い頃を経験した本人は極度に恐れをなすのである。
因果応報は無頼漢ほど思い知らされる、やめときゃ良かった !あの日の啖呵と暴力を ?
話は戻って撃たれた方はその後何の波風もなく平穏に日々を重ねたが、若い頃の威光は跡形もなく消え失せて、人が潮を引くように去って行った、数年後孤独な晩年に幕を下ろした。
撃った方はどうしたか、私の耳にその消息は入らない、長い懲役が貴重な人生を棒に振ったのではないだろうか !
浜の真砂は尽きるとも世に盗人の種は尽きまじ !?