あなたは何思う
人と接することが私の仕事、同じ人でも、その折々に表情が違う。
生来の明るい性格が鳴りを潜め沈んだ表情で瞳はあらぬ方向を向く、それから暫くして彼の消息が途絶えた。
借金取りに追われて毎日金策に走っていたことを知る、一緒に住む家族が哀れで子供達から笑顔が消えた。
夜逃げ、けしてひと昔前の話ではない、現実に今起こっている悲劇なので有る、金にまつわる話は人間の数だけある。
どこで出会っても暗く沈んだ男がいた、友人とも会うことをせず常に避けていた、その彼が、どうしたことか羽振りが良くなった。
宝くじ何等か100万円当たったそうである、クリーニングの効いた背広を着て夜の街へ出かける彼がいた、それからしばらくして俯いた顔の彼がいた。
100万円はあっという間に夜の街に消えた、媚を売った夜の蝶達の変わり身は早かった、すれ違う顔は蔑みの微笑 ! 現金だね ?
その暮れの師走の風はキツかった !「死にたい !」
死にたいと言う人が死んだ試しがない ? 私は、肩を押して励ました、「もう一回大きいのが当たるかもしれないよ」生きる希望を持たせる為だった。
彼もその街に見切りをつけて関西へ向かった、親戚の経営する家内工業を手伝う為に、珍しく翌年の正月元旦、彼から年賀状が届いた。
「可愛い女性に巡り合ったので結婚します !」弾んだ字が踊っていた。
常に悲観ばかりの彼に二度の当たりはないだろう、しかし、せめて嘘も方便、希望を持たせたい ! 私の言葉に発奮したと言う。
その後彼から結婚式の写真が届いた、格別美人ではないが愛嬌のあるふくよかな女性が寄り添っていた。
「ああ! あげまんだ !」つい口が滑った !
その時・・・「こんにちは!」との声が、同時に表の戸が開いた。
戸締りをしていなかったのだが若い青年が立っていた、「新聞をとってくれませんか ?」目が虚ろだった。
「君!宝くじを買いなよ ! 当たると思うよ !」
私は二兎を追っていた !?
味のあるブログでした。最後まで、楽しく、心温まる話でした。
人生模様ですね。
onecat01さん、
金持ちはほっておいても大丈夫、
立場の弱い人は、私が歩んだ写し絵、
だから、つい気になるのです。
頑張れよ、世の中の不条理に負けるな・・・よ !
と
コメントありがとうございました。