男のロマン
何億と資産を構える事業家がいる、一代で築き上げた人である、複雑な家庭環境から80になったのに孤独を囲っている、初めて出会ったのが40年前寡黙で腰の座った印象が残っている。
風雪は不思議な再会をシナリオに書き添えた、今年の初めに機会は訪れた、その眼光、その物腰、普通の人は圧倒される、あの時より少しも衰えてはいなかった。
私は度々触れて来たが、世間で言う頑固者! そして嫌われ者と言う人々が何故か好きである、その怖さの中に絵も言えぬ愛虚がある、私はそれを見逃さない、孤独に沈む益荒男ほど愛しいものはない !
今回も初回でガツン!とかまされた、何だょ! 少しは控えろ ? との意味合いである !
私は笑って逸らした、相手を立て、相手を尊重する態度で敵でない事を知らせるのである、最後は笑い声をあげておいとました。
「また来ますよ !」「おう! また来てくれや !」強面を手足に、又訴訟で闘った剛毅な事業家、過去の歴史に組関係は事業家にとっては最も怖い、警戒すべき人達であったはずである。
その修羅を乗り越えて来た御仁なのである、私が若い時遭遇した若いやんちゃ者も使い走りに使っていたこともある、懐かしい思い出だが、激昂して、そして言葉に余韻を見せる弱さを見せるようになった。
仕事で再会、その故郷には私の友人達がいる、年老いて故郷を共有する人間関係ほど安心の境地に至ることはない、こちらも相手の氏素性が分かるように相手も私の秘部を全て知ることになる。
そこに共有の連帯感、安堵の心地になるのである、「おい!Sという男は何者か ? 信じて大丈夫か ?」その人にとっては田舎の可愛い後輩に私の事を聞くことができる !
その答えは、私の生き様を知る者なら全員分かっている、真面目に生きたか、後ろ指さされて来たか、本物の値打ちがここに現れる、私の友が言う「それは、お前の接し方が良いからなのだよ !」 と !
この人から、ある相談が入った、お互いあと僅か残された命、事業欲衰えを知らぬその人は私にある大事な相談を寄越してきた、何億何十億あるか私は知らないその人は、親族にも言えない相談をして来た。
初頭に述べたように私は物欲、金銭欲がない !その淡白な性格を見抜かれたのだろう、私は相手に負担を掛けない主義である、銭金抜きのお付き合い、助言者に止めるつもりではある。
男たちの挽歌、男のロマン。
「今時、綺麗な付き合いもお手本に良いではないか」どこかでお師匠さんの声がする、私が師と仰ぐ天空の彼方に住む高貴なお人からである。
「今まで通りで良いんだよ、最後の仕上げで良いんじゃない。」