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友情

男たちの挽歌 硬派を貫いた男

男たちの挽歌     硬派を貫いた男達、  

昼前、一通のハガキが手元に届いた、京都からの心のこもった便りだった、 懐かしい想い出が蘇って来た。

・・・

もの悲しげに九州行きフェリーは岸壁を離れた、湊町の夜景が2人の前途を寂しげに見送った。

今迄あまり触れなかった想い出の1ページは見送る人のない岸壁を離れた時から始まった。

ひとりの男が黙って2人の後ろ姿を見つめていた、フェリーの甲板員S、高校空手界の雄T高校空手部で名をはせた元主将M・Sその人である。

苦い舟出の2人を寡黙な彼は優しい眼差しで追った、甲板員の彼は船内の暖かい居場所を2人に提供した、まさに男の友情を垣間見せた一コマだった。

辛い時の情けほどありがたいものはない、遠ざかるY港夜景と男Sの気配りを2人は終生忘れる事はないだろう。

その後私は、Sの秘められた恋に関わることになるが、男たちの挽歌は第2章にと引き繋がっれていく。

蒙古放浪歌Yの従兄弟、それが今回のSの氏素性である、重くて鋭い突きと、引き足の早い蹴りが中段を襲う、キャプテンSの技は他を圧して強かった。

普段は無口だが心許す相手には饒舌になった、不正を許せない硬骨漢、お世辞から遠のいた男の行き先は海の男への道だった。

下積みから叩き上げていく男は名誉あるフェリーの船長になる、随分苦労したと思うが、芯の通った彼はやり遂げた。

影になり日向になって彼を見守り指導した素晴らしい師匠がいる、Sが男になれたのも、この船長さんのおかげだと私は感謝しています。

先般、京都から帰郷されてお逢いした女性のお父様がその船長さん、そしてお二人とご一緒した私だった。

今日の便りの主がこのお嬢さん、人の縁の嬉しいところ、私が弟のように自慢するSを引き立てて頂いた恩人父娘でもある。

船を降りたSは、静かな山間の村で愛妻と静かに過ぎ去りし日々を振り返っている、未だ闘志失わず空手の鍛錬を怠らない彼にいつか逢いたい。

現在、彼の一級後輩が伝統流派の愛媛県会長の任に就いている。

押忍

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